研究実績の概要 |
転移性骨腫瘍は疼痛や脊髄圧迫を引き起こし癌患者の生活の質を低下させるため、対症療法として放射線治療が用いられる。近年、転移性骨腫瘍に対して腫瘍制御を目的に大線量の定位放射線治療が提案されおり、最新の第 3 相臨床試験は従来線量の治療に対する腫瘍制御の有効性 を報告している(R. Shayna et al. ASTRO, 2020) 。一方で定位放射線治療は大線量を用いることから圧迫骨折などの有害事象が発生するリスクがあり、先行研究は14%に圧迫骨折が起きたと報告している(S Faruqi et al., Neurosurgery, 2018) 。 本研究は高次元の画像特徴量を抽出する Radiomics解析と深層学習を組み合わせた治療反応予測モデルを構築し、放射線治療前のCTやMRIの画像と線量分布を入力することで、腫瘍制御と有害事象を高精度に予測するシステムを開発することを目的とし、脊椎定位放射線治療で治療した 164 例(VCF の発生は 52 例)をレトロスペクティブに解析した。 Radiomicsモデルを用いることで椎体圧迫骨折の予測精度が従来の臨床因子で予測する方法よりも改善することが明らかとなった(AUCが0.76から0.84に向上)。また、局所制御についても、Radiomicsモデルを用いることで従来法よりも予測精度が向上することを明らかにした(AUCが0.80から0.83に向上)。
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