本研究課題では、パーキンソン病の生態機能イメージング手法であるドパミントランスポータSPECTと形態・機能イメージング手法であるMRI画像から得られる画像特徴量を用いて予後予測モデルを構築し、パーキンソン病患者の運動機能と非運動(認知)機能を予測するシステム を開発する。2023年度は、下記の成果が得られた。 ・ドパミントランスポータSPECTの統計情報やテクスチャ情報からなるRadiomics signatureを構築し、Hoehn & Yahrの重症度(0~Ⅱ)に応じてRadiomics signatureに差があることが明らかとなった(Society of nuclear medicine and molecular imaging 2023で発表)。 ・頭部MRI画像のT1強調/T2強調画像から得られるRadiomics特徴量からRad-scoreを構築し、高Rad-score群では、運動症状進行速度が有意に早いことが示された(American association of physicists of medicine 2023で発表、European Radiologyに投稿中)。
本研究期間全体を通して得られた成果は下記のとおりである。 ・ドパミントランスポータSPECTから得られるRadiomic特徴量は、パーキンソン病の運動症状や重症度を反映するだけでなく、認知機能の進行とも関連することが示唆された。頭部MRI画像のT1強調/T2強調画像から得られるRadiomic特徴量は、運動機能の進行度予測の指標となり得ることが示された。これらの結果から、核医学、MRIといったマルチモーダルなRadiomic特徴量を用いることにより、パーキンソン病の包括的な予後予測の可能性が示された。
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