研究課題
中性子フィルターの材質と形状を検討するために必要なシミュレーション用計算機を購入した。この計算機に放射線の挙動を核反応モデルや核データなどを用いて模擬するモンテカルロ計算コードPHITSのソフトウェアをインストールした。インストール後、当センターに設置してある中性子加速器線源(NeuCure BNCT system)のビームモデルを作成し、モデルの確認のため、水ファントム中の熱中性子束とガンマ線線量率の分布を測定した。実測データとシミュレーション計算のデータを比較し、良好に一致したことを確認した。これらの結果をまとめて、英国ジャーナル Radiation Oncologyに投稿した。中性子加速器線源のモデルの確認後、中性子フィルターの材質と形状の検討を行った。中性子出口(コリメータ径)にフィルター(円盤型のリチウム)を模擬して、厚さやリチウムの含有量などを調整し、最適なフィルターを評価した。評価項目は、熱中性子束のピーク値(2.5cm)と深部(8cm)の比(治療可能な深さ)、正常脳の線量が10Gy-eqに到達する時間(治療時間)と表面の線量(皮膚線量)であった。治療時間を1時間以内に抑える観点から、フィルターの厚さを5㎜に設定した。5mmのフィルターを用いることによって、深部線量を25%増大することが可能となった。計算で求めた最適なフィルターを作成し、加速器中性子源を用いて実測を行った。計算と実測値が一致したのを確認して、人体を模擬したファントムを用いてシミュレーション計算を行った。これらの結果をまとめて、米国ジャーナルMedical Physicsに投稿した。
1: 当初の計画以上に進展している
計画以上研究は進んでいる。フィルターの最適な形状を検討して、更に照射実験も済んでいる。論文も投稿済みである。
今後はフィルターを異なる照射条件で計算を行い、更に線量分布の改善を目標とする。
すべて 2022 2021
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 2件)
Radiation Oncology
巻: 16 ページ: 1-13
10.1186/s13014-021-01968-2