乳癌を有する患者さんに対し、術前に撮像した単純MRI画像、造影MRI画像(いずれもT2強調画像)を3次元再構成ソフト下で再構成し、その正射影をマンモグラフィの陰影と比較する方針で解析を行った。 マンモグラフィと造影MRI画像の最大の相違点は血管の濃度であった。加工をすることなく造影MRI画像を3D再合成した後に正射影を得ると、乳癌と考えられる位置だけでなく、血管も強調されているため両者の区別を得ることが本研究での最大の課題になることが判明した。また、3Dで再構築した乳房をマンモグラフィの圧迫板幅に合わせて等体積変形を行い、そちらでマンモグラフィ画像と比較を行ったが、基点と考えられる乳頭直下点と乳腺最末端点を重ねても、多くの乳腺が重なるような変形3D再構築乳房を得られる可能性が低いことが判明した。その原因として、マンモグラフィ撮像時には用手的に乳房を牽引して圧迫板に挟み込むが、その張力が乳房内で統一ではなく、引き伸ばされ方にムラがあることが予想された。 そこで、新たに乳房の柔らかさや弾性を数値的に評価し、それを3D再構築時に係数として加えることにより、引き伸ばされ方を想定した3D再構築を行う方法が良いのではないかと考えている。現在、この係数決定へ向けて方策を練っているところであり、現在も研究は進行中である。 計画に関して、研究を進めたことにより想定すべき係数評価を明らかにすることができたと考えている。以降も研究を重ね、乳房MRI画像とマンモグラフィを用いた新たなシステムの構築を目指す。また、この途中で得られた乳房の柔らかさや弾性への評価軸が決まれば、一度論文投稿を行う予定である。その中で柔らかさ評価をマンモグラフィだけで大まかに判別する計算式を導入した、マンモグラフィのみで立体位置情報を推測するAndroidアプリを開発中である。
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