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2021 年度 実施状況報告書

ホウ素中性子捕捉療法の難治性非腫瘍性疾患への適応拡大のための基盤技術開発

研究課題

研究課題/領域番号 21K15805
研究機関京都大学

研究代表者

渡邉 翼  京都大学, 複合原子力科学研究所, 特定准教授 (30804348)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2023-03-31
キーワードホウ素中性子捕捉療法
研究実績の概要

本研究の目的は、ホウ素中性子捕捉療法を用いて難治性非腫瘍性疾患に対する新たな治療法を確立することである。ホウ素中性子捕捉療法とはホウ素原子が中性子を取り込みアルファ線とリチウム原子核に核分裂を起こす物理反応を利用した癌治療である。原子が核分裂後に発生する重粒子の飛程は10μm以下と極めて短く細胞直径を超えない。ホウ素を癌細胞へ選択的に取り込ませることができれば生体への影響が少ない低エネルギー中性子を照射し、癌細胞のみを死滅させることが可能であるとして、癌治療としてこれまで癌細胞選択的に取り込まれるホウ素薬剤の開発がすすめられてきた。ホウ素中性子捕捉療法のホウ素選択的な作用特性と抗体の標的選択性は機序を考えると最良の組み合わせである。癌治療としての抗体を用いたホウ素中性子捕捉療法は癌組織の不均一性が課題となり、確立していない。本研究では視点を変えて非腫瘍性疾患を対象とすることで、抗体を用いたホウ素中性子捕捉療法の実現可能性を検証する。まずは、抗体1分子あたり多数のホウ素原子を結合させるためのホウ素化モジュールを作成し、抗体1分子あたり約40個のホウ素原子を結合させることに成功した。ホウ素化モジュールによる抗体のホウ素化後も、抗体の標的選択性は棄損されなかった。次に、作成したホウ素化抗体を用いて、スプレノサイト中の細胞を標的として中性子を照射し、アポトーシス頻度の標的細胞選択的な増加が認められるかどうかを調べた。アポトーシス頻度は上昇していることは確かめられたが、抗体1分子あたりさらにホウ素原子を結合させる必要があることが判明した。2倍量のホウ素原子を結合させることができるようホウ素化モジュールを改善させた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究目的を実現させるため、抗体1分子あたり効率良くホウ素化することができるホウ素化モジュール作成に成功した。次年度は本モジュールを用いて、中性子照射実験をさらにすすめる予定である。

今後の研究の推進方策

ホウ素化抗体を用いたin vitroおよびin vivoの中性子照射実験をすすめていく。改良したホウ素化モジュールを用いて、今年度同様スプレノサイトを標的とした中性子照射実験を行い、アポトーシス頻度の変化を調べる。またin vivoモデルでの検討として炎症マウスモデルを用いて、炎症の原因となる細胞群を標的としたホウ素化抗体を用いて、ホウ素化抗体をマウスへ全身投与させた後、炎症局所のみへ中性子を照射し、局所の炎症が改善されるかどうかを調べる。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2022

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] The mutual relationship between the host immune system and radiotherapy2022

    • 著者名/発表者名
      Tsubasa Watanabe, Genki Edward Sato, Michio Yoshimura, Minoru Suzuki, Takashi Mizowaki
    • 雑誌名

      International Journal of Clinical Oncology

      巻: 0 ページ: 0

    • 査読あり

URL: 

公開日: 2022-12-28  

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