研究課題
血管内塞栓材料は、動脈瘤や血管奇形の塞栓、止血、腫瘍内血流低下等のため血管内に注入して使用される医療材料である。その形状から固形・液体塞栓物質に分類される。固形塞栓物質としてはコイル、バスキュラープラグ、ゼラチンスポンジなどがある。また、液体塞栓物質としては腹部領域で使用されるものにはNBCA(ヒストアクリル)、エタノールがある。これら2者はいずれも未承認ではあるものの、他に代替材料がなく一般的に使用されているものである。しかし、強力な塞栓効果を呈する反面、コントロールが難しく手技には熟練を要する。実臨床では出血部位までカテーテル挿入が困難な場合や広い範囲を鋳型状に塞栓する必要がある場合等、液体塞栓物質が必要となる状況も多く、より安全に使用できる塞栓材料の開発が渇望されている。我々は、安全かつ使用の簡便な新規液体塞栓材料としてアルギン酸ゲルに着目し、2018年度~2020年度の科学研究費若手研究でアルギン酸ゲルの血管塞栓材としての基礎実験を繰り返した。アルギン酸ナトリウムと塩化カルシウム、塩化バリウム溶液を反応させることで作成したゲルを使用し、豚腎動脈での急性期動脈塞栓実験においても塞栓効果および組織学的所見を確認することで生体内での安全性を確認した。その結果を第49回IVR総会で発表報告した。さらに、2021年度以降は低エンドトキシンアルギン酸ナトリウムを用いた基礎実験を行い、その結果を踏まえて、2022年度慢性期動物実験を行う予定である。
2: おおむね順調に進展している
低エンドトキシンアルギン酸ナトリウムを用いた基礎実験を行い、その結果を踏まえて、2022年度慢性期動物実験を行う予定である。
2022年度、9月にミニブタ腎動脈での塞栓実験を行いその後3ヶ月間の飼育を行う。3ヶ月後に再度動脈造影および血中電解質濃度の測定を行い塞栓効果と安全性を評価する。その後、塞栓血管および周囲腎実質の組織所見を確認し生体での長期的な安全性について確認する予定である。
当初予定通りに計画を遂行したが、想定より試薬等を安価に抑えることができたため次年度使用額が生じた。2022年度は高額な動物実験を行う予定であり、その費用に充当する予定であるため。
すべて 2022 2021
すべて 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 7件) 学会発表 (22件) (うち国際学会 1件)
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