研究課題/領域番号 |
21K15817
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研究機関 | 愛知県がんセンター(研究所) |
研究代表者 |
清水 秀年 愛知県がんセンター(研究所), 分子腫瘍学分野, 研究員 (00796914)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 強度変調放射線治療 / ねじれ / 頭頸部 / 回転角度 / 遠隔自動制御 / 有限要素法 |
研究実績の概要 |
頸部のねじれ補正には、先行研究において研究代表者が取得した特許を使用した(特許 第6606643号:患者位置補正方法)。本機構は2つのプレート(頭頸部プレートとボディプレート)が回転中心で結合する構造を有する。各プレートはそれぞれの下にある調整ねじを動かすことにより、3つの回転角度 (pitch, roll, yaw) を形成することができる。これらの組み合わせにより、補正台上の患者の頸部のねじれを補正する。 2021年度は上記の特許技術を使用し、ねじれ補正システムの設計モデルを構築した。放射線の吸収・散乱がある材質は、放射線治療計画用CT画像上に疑似陰影(アーチファクト)を形成し、標的や正常組織の描出の妨げとなる。そのため、ねじれ補正システムの材質には、放射線低吸収素材である樹脂を使用した。また、寝台と補正台を固定する治具ならびに頭頸部の放射線治療に使用する樹脂性の患者用固定具を取り付けられる構造にした。さらに頭頸部プレートとボディプレートにモーターユニットを取り付け、操作ペンダントを介して遠隔自動制御を可能にした。操作ペンダントは、それぞれのプレートに対して3つの回転角度 (pitch, roll, yaw)を入力できるようにした。遠隔自動制御にあたり、放射線の吸収・散乱がある金属を使用したが、放射線治療において放射線が照射される領域には金属が入らないように設計した。 設計したねじれ補正システムのモデルをコンピューターにより構築し、有限要素法により実臨床で使用できる耐荷重性を備えているかを評価した。臨床使用に問題がないことを確認し、当補正システムを開発・製作した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
ねじれ補正システムの設計モデルを構築し、次年度計画であった有限要素法による耐荷重性の評価を実施し、当補正システムの開発・製作を行ったため。
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今後の研究の推進方策 |
開発・製作したねじれ補正システムの無荷重および荷重時における動作精度を保証するために、操作ペンダントに入力した各回転量(pitch, roll, yaw)とディジタル角度計による実際値が一致することを確認する。入力する回転量は乱数を用いて決定し、20通りの組み合わせを評価する。さらに補正台の上に既知量のねじれを付けた人体模擬ファントムを設置し、ねじれ補正システムにより、ねじれが補正できるかを評価する。
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次年度使用額が生じた理由 |
頸部ねじれ補正システムの材質をカーボン素材から樹脂性素材に変更したことによるコスト軽減、および新型コロナウイルス感染拡大の影響による国際学会に参加するための参加費・旅費の軽減により、2021年度の支出が抑えられた。 新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、2022年度も学会活動に関する支出が予定よりも下回ることが想定される。次年度使用額は、頸部ねじれ補正システムの改良費、必要な書籍やソフトウェアの購入に割り当てる。
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