研究課題
腰痛症の主な原因である椎間板変性症を早期に診断することは社会的にも重要である。椎間板は、辺縁部の線維輪、中心部の髄核からなり、主にコラゲン、プロテオグリカンと豊富な水分から成る。椎間板の変性は、プロテオグリカンの減少とそれに伴う水分量の減少、II型コラゲン減少・I型コラゲンの増加の順で進行し、進行の時期により構成成分・その割合は異なる。このような椎間板変性における組織の変化はこれまでもっぱらMRIで診断され、X線CTによる椎間板変性の早期診断法は確立されていない。近年実用化されたdual energy CT(DECT)では、組織を構成する物質の組成を従来のCT値より定量的に反映する電子密度の画像を得ることができる。DECTから得られる電子密度や実効原子番号が、椎間板変性における組織変化をどのように反映するか、ファントムと動物の椎間板を用いた基礎的検討およびMR画像指標との比較により明らかにする。電子密度や実効原子番号の画像の、椎間板変性症の早期診断における臨床的有用性を明かにする。この2つを目的とした。現段階で、以下の事を目的とし、検討を行った。DECTから得られる電子密度や実効原子番号が、椎間板変性における組織変化をどのように反映するかを検討し椎間板変性症の早期診断における臨床的有用性を明らかにする事を目的とした。当院で脊椎疾患が疑われ、CT・MRIを撮像した症例を対象に、椎間板変性の主流の評価法であるMRI所見と従来のCTの評価法であるCT値・電子密度値の相関性を評価し、椎間板変性におけるCT値・電子密度値の有用性を検討した。変性の進行に伴い、椎間板の髄核と線維輪の電子密度の差が有意に小さくなる結果となった。これは、変性に伴う髄核の脱水・線維輪の断裂・嚢胞変性による水分量の変化を電子密度が反映したと考えれる。現在ファントム・動物椎間板による評価も検討中である。
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