研究課題/領域番号 |
21K15831
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研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
右近 直之 福島県立医科大学, 公私立大学の部局等, 講師 (70792985)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 線量評価 / 核医学治療 / α線放出核種 / αカメラ / 分子イメージング / モンテカルロシミュレーション |
研究実績の概要 |
α線は飛程が短く、組織内で一様に分布するまで時間がかかることから、経時的に組織内の局在性を反映した分布を正確に測定することで線量評価が可能となる。 新たに開発されたαカメラは、腫瘍組織、正常組織内における211At標識化合物の分布を精密に画像化することができるデバイスとして注目されている。また壊変と同時に放出される特性X線(79 keV)を検出することで、SPECT撮像による画像化も可能である。αカメラによる画像は精密であるが2次元であり、解剖を伴うため時系列の評価が難しい一方、SPECT画像の空間分解能は十分ではないが生体の3次元全身の画像化および時系列の測定が可能である。そこで両画像を融合したモンテカルロシミュレーションにより、細胞など微視的な領域を対象としたマイクロ吸収線量測定と、人体など巨視的な領域を対象としたマクロ吸収線量測定の知見を融合した吸収線量予測法の検討を行った。 本年度は、腫瘍モデルマウスを用いた動物実験によって211At標識化合物の正常組織および主要組織の集積をSPECT/CT及びαカメラにより撮像し比較した。SPECT/CTは時系列で撮像し、それぞれの画像を解析することで標識化合物の滞留時間を測定し、各臓器に対する組織吸収線量を求めた。SPECT/CT画像から得られた情報をもとにモンテカルロシミュレーションを行うための環境構築を行い、今後は放射線挙動を計算することで、組織吸収線量の見積もりを行うための検討を行う予定である。 これらの結果は、学会発表を行うとともに論文化を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和4年度は研究計画書に則り、α線放出核種のSPECT撮像を行い画像から得られた組織内の標識化合物の集積を測定した。測定された集積から組織内の滞留時間を求め、線量評価を行った。 さらに画像を用いた、モンテカルロシミュレーションの環境を構築した。
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今後の研究の推進方策 |
次年度はアルファカメラによる組織の撮像を行い、組織内の局在性を評価する。さらに組織内の局在性を反映させたモンテカルロシミュレーションとSPECT画像からのモンテカルロシミュレーションを比較し線量評価結果を考察する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
各検討におけるデータ取得が順調であり、次年度はさらに動物実験を進めるための物品費、発表論文の英文校正費、論文掲載料で使用する予定である。
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