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2021 年度 実施状況報告書

血管塞栓モデルを用いたコンピュータ流体解析によるNBCA-Lp混合液の動態解明

研究課題

研究課題/領域番号 21K15832
研究機関京都府立医科大学

研究代表者

林 奈津子  京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (70736173)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワードNBCA / 動脈塞栓術 / 硬化時間 / IVR
研究実績の概要

NBCA はリピオドールと混和 (NBCA-Lp 混合液) して重合時間を調整するが、血流内での実際の挙動は予測困難である。本研究では、NBCA-Lp 混合液の詳細な動態を解明し、実臨床での動態と比較検証して最適 な NBCA 塞栓術を構築することが目的である。
初年度はNBCA の硬化時間に影響を与える因子についての検討を行なった。一般的にはNBCA の注入直前にカテーテル内を5% ぶどう糖液でフラッシュしてからNBCA を注入しているが、5% ぶどう糖液が最も適した溶液であるかを検証することとした。手技中にNBCA に触れる可能性のある溶液として、生理食塩水、5%ぶどう糖液、注射用水、乳酸リンゲル液、造影剤、血液(血清)を挙げた。まず、それぞれの溶液のpHを測定し、静止系モデルにおいてNBCA の硬化時間を測定して比較を行なった。
次いで、血流モデルの作成を行った。過去の研究で使用した血流モデルを参考に、NBCA 注入時の動体の観察が可能なモデルの開発を行なった。回路が1本のみのチューブで作成した場合、NBCA により血流低下が生じても、ポンプの強い圧力によりNBCA が押し流されてしまい閉塞が生じにくい可能性がある。生体内においては、ある動脈で血流低下が生じた際には速やかに側副路が発達すると想定されるため、圧のがし回路を追加したモデルとした。チューブ内でNBCA が血液(血清)に触れる瞬間をカメラで捉えることができるような素材を用い、カメラの位置とチューブの長さを決定した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

初年度において、静止系でのデータ収集と、血流モデルの作成が概ね完成したことから予定通りに進んでいると考えられる。

今後の研究の推進方策

2年目となる2022年度は、血流モデルにおけるNBCA-Lp 混合液注入実験およびハイスピードカメラ画像の流体解析を行う。血管塞栓モデルで様々な状況下で想定される条件を設定し、NBCA-Lp 混合液をマイクロカテーテルから回路内に注入する。NBCAの濃度や注入方法など様々なパラメータを変えて注入実験を行い、その様子をハイスピードカメラで撮影する。得られたデータは映像解析を行い、注入された NBCA が血流内でどのような形態変化をしながら広がるか、またNBCA に触れた血 清の渦度をベクトル表示により可視化して血流が停止するまでの経時変化を明らかにする。 さらに、カテーテル先端周囲への逆流のメカニズムについても検討し、NBCA-Lp 混合液の重合時間を参考に逆流の程度や時間を変えてマイクロカテーテルを抜去し、張力計での引き抜き圧の測定を行うことで、固着の有無や程度に ついても評価する。

次年度使用額が生じた理由

2021年度は新型コロナウイルスの広がりにより、学会参加が困難な状況であったため旅費の使用がゼロとなった。2022年度以降に可能な状況となり次第、学会参加を行い、得られたデータの公表や新たな情報収集を行う予定である。

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公開日: 2022-12-28  

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