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2021 年度 実施状況報告書

脳容積・白質微細構造の大規模データ解析による睡眠障害のバイオマーカー探索

研究課題

研究課題/領域番号 21K15833
研究機関順天堂大学

研究代表者

早川 弥生  順天堂大学, 医学部, 助教 (30812763)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2026-03-31
キーワード睡眠障害 / 磁気共鳴画像 / 地域在住高齢者 / PSQI / 脳容積
研究実績の概要

コホート研究である「文京ヘルススタディー」の一貫として、地域在住の高齢者1622名(男性683名、女性939名)を対象に、脳容積と睡眠障害の関連を検討した。脳容積は統計解析ソフトStatistical Parametric Mapping(SPM)を用い、個人の脳MRI画像データを標準脳に正規化し、信号強度を容積値に変換したのち、既存の解剖学的構造に基づくアトラスを当てはめ、各脳部位の容積を算出したものを用いた。睡眠障害の程度については自己評価尺度であるピッツバーグ睡眠質問票(Pittsburgh Sleep Quality Index;PSQI)の点数を用いた。PSQIの総得点の平均は男性より女性の方が有意に高く、性差を考慮し男女別に解析を行った。結果として女性においてPSQIの総得点(高いほど睡眠障害がある)と左下前頭回眼窩部、両側側頭極(上側頭回)の脳容積に負の相関がみられ、これらの脳部位における睡眠障害と関連した容積の低下が示唆された。本研究では0.3T MRIで撮像されたデータを用いており、現在の主流である3T MRIとは磁場強度が異なるが、研究者の所属する研究室からの発表により0.3T MRIと3T MRIで算出された脳容積には良好な正の相関が示されており、3T MRIで行われた先行研究や今後の研究とも比較可能な結果であると考えられた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

地域在住の高齢者を対象とした大規模データを用いて、女性における睡眠障害と左下前頭回眼窩部、両側側頭極(上側頭回)の関連の可能性を示した。さらに脳の微細構造の変化として、近年急速に注目されているALPS indexという指標がある。これは脳の間質液動態の異常を反映し、睡眠時に間質液を介して脳組織の老廃物が排出されると考えられることから、睡眠障害のバイオマーカーとなる可能性がある。令和3年度は脳容積について検討する予定だったが、最先端の解析であるALPS indexと睡眠障害の関連についての解析も同時に行っている。

今後の研究の推進方策

地域在住の高齢者の睡眠障害に関連する年齢、性別、うつ傾向など他の要因を統制し、TBSS
や自由水イメージングなどの他の微細構造変化の指標と容積との関連についても解析を進めていく。結果は随時学会や論文にて発表を行う。

次年度使用額が生じた理由

データ保存等に既存の備品を用いて効率化できたこと、学会にはオンラインで参加したことにより、効果的な研究費使用ができた。未使用額は今後のさらなる解析や学会発表、論文化費用に充てる予定である。

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公開日: 2022-12-28  

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