研究課題/領域番号 |
21K15837
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研究機関 | 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構 |
研究代表者 |
亀沢 知夏 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 博士研究員 (60897875)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | X線イメージング / エラストグラフィ / 放射光X線 / 実験室X線 |
研究実績の概要 |
本研究は、3次元空間での高精度X線エラストグラフィを実現し、実用的な臨床用システム開発に向けた知見を得ることを目的としている。エラストグラフィをX線イメージングを用いて高空間分解能で3次元的に硬さ画像(弾性率画像)得ることで、臨床医学と基礎医学の両方へ新しい診断手法を提供できると期待する。これを実現するためにX線エラストグラフィ用アルゴリズムの開発と評価実験の両方から研究を推進する。 【現在までの状況】 ・アルゴリズムの開発:本年度は、実験により得られたX線CT画像から3D-3D位置合わせを用いて開発したX線エラストグラフィ用アルゴリズムにより解析した。ずり弾性波が3次元的に伝播している様子を得ることができ、3次元弾性率画像の取得まで至った。現在論文を準備中である。一方、臨床応用のための実用化のために、2D-3D位置合わせによるX線エラストグラフィ用アルゴリズムの開発も予定していたが産後休暇及び育児休業のために実施には至っていない。 ・評価実験:本研究では臨床応用を目指した実験室X線源を用いた実験と、基礎研究を目指した放射光X線を用いた評価実験を実施する。本年度は放射光X線エラストグラフィ用実験系の開発を開始し、開発した実験系を用いてファントム実験を実施した。ファントム実験によりファントム内部を伝播するずり弾性波を可視化することができた。さらに臨床応用を目指した実験室X線源を用いたエラストグラフィ装置の開発も開始している。現在それぞれの実験において得られたデータの解析を進めている。 【成果報告】 放射光を用いたエラストグラフィに関する放射光ビームの物理的特性に関する評価実験結果について、国際会議において報告を実施した。またX線エラストグラフィの実施状況について、国内会議において発表を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
産後休暇を4月に、育児休業を7月から10月まで取得したため研究を計画通り進めることが困難であった。 評価実験によるデータ取得はある程度順調に進んでおり、産後休暇から育児休業の間の2ヶ月間の間に放射光実験施設において3次元X線エラストグラフィの実験を実施し実験データを取得した。さらに10月以降の育児休業終了後は、データ解析を進めるととともに、実験装置の改良を行い、その装置を用いて放射光実験施設を利用した実験を実施した。 一方データ解析については、アルゴリズムの開発については2D-3D位置合わせを用いたアルゴリズムを開発する予定であったが、そこまでは至っていない。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度は、2021年度までに実験により得られたデータを3D-3D位置合わせを用いたアルゴリズムにより解析し、論文にまとめて成果報告を実施する。 さらに、当初2021年度中に開発を予定していた少ない撮影枚数で解析が可能となる2D-3D位置合わせによるエラストグラフィ用アルゴリズムの開発を進める。 また、生体実験が可能となるように実験系の改良を実施し、2023年度以降に放射光X線と実験室X線源を用いた生体による評価実験を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
育児休業等のため研究が当初の計画通りに進めることができていない。来年度に経費を使用させていただき研究を推進する予定である。
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