本研究は、3次元空間での高精度X線エラストグラフィを実現し、実用的な臨床用システム開発に向けた知見を得ることを目的としている。エラストグラフィはMRやUSで臨床の現場で用いられており、内部の弾性率を非侵襲的に画像化できる技術である。一方、X線イメージングはMRやUSとは異なる空間分解能と侵入深さを持つ利点がありながら、X線エラストグラフィはほとんど前例がない。本研究では高空間分解能で3次元的に硬さ画像(弾性率画像)を得るために、エラストグラフィをX線イメージングを用いて行う手法の基礎的知見を獲得し、臨床医学と基礎医学の両方へ貢献することを目的とする。 【現在までの状況】 昨年度までに、放射光X線及び実験室X線による3次元X線エラストグラフィのデータ解析手法の開発及び論文執筆の準備を進めてきた。今年度も引き続き実験室X線及び放射光X線により得られたエラストグラフィのデータ解析手法の改良を進めてきた。論文発表の準備を今後も進めていく。また、研究を継続的に発展させるために、データ解析手法の共有方法の整備を同時に進めた。 【成果報告】 実験室X線を用いた3次元X線エラストグラフィについて、国際会議であるXOPT2023にて成果報告を行った。さらにX線エラストグラフィの基礎となる、放射光X線を用いたX線イメージングの高度化手法に関して2件論文を出版した。この手法は、今後X線エラストグラフィの実験手法に生かすことで、より弾性率測定の精度を向上させることが期待できる。
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