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2022 年度 実施状況報告書

腫瘍増殖能と間質量の統合評価による膵癌の新たな予後予測方法の特定に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 21K15847
研究機関香川大学

研究代表者

藤本 憲吾  香川大学, 医学部附属病院, 病院助教 (40807046)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワード膵癌 / extracellular volume / F-18 FDG PET / CA19-9 / 術前化学放射線療法
研究実績の概要

現在、膵癌の周術期治療として生存率の改善を目標とした治癒切除可能な膵癌に対する術前補助療法が注目されている。しかし、膵癌患者全例に術前補助療法が有効かどうかは不明であり、適応基準も確立していない。近年、細胞外容積分画(ECV:extracelluar volume)が化学療法を受けた切除不能な膵癌患者の予後予測に役立つことが報告されている。ECVとは血管内容積率と血管外細胞外容積率の和であり、造影CTで半定量的に評価することができる。膵癌のような乏血性腫瘍の場合、間質量増加は化学療法の浸透性を亢進させ、治療効果が向上するのではないかと考えられている。ECVが術前化学放射線療法後の膵癌患者の予後を予測できるか検討した。
術前放射線化学療法と手術を施行した膵癌患者51症例に対して術前放射線化学療法前後にECV、18F-FDG PET/CTのSUVmax、CA19-9を測定した。年齢、性別、血清アルブミン、切除可能性分類、CA19-9、SUVmax、ECV、手術の術式、腫瘍遺残の有無、リンパ節転移の有無、病理学的評価および術後補助化学療法の完遂の有無を評価項目とし、全生存期間に与える影響を単変量解析と多変量解析で評価した。全例で術前放射線化学療法としてTS1の化学療法と放射線治療50Gy/25frを施行した。術後観察期間の中央値は35ヶ月、OSの中央値は37.3ヶ月であった。単変量解析でp=0.1を下回った評価項目を多変量解析すると、アジュバント療法が完遂できなかったこと(ハザード比15.0、p<0.001)とNACRT後のECVが48未満であること(ハザード比13.1、p=0.004)が有意なリスク因子と考えられた。ECVは術前化学放射線療法後に手術を施行された膵癌患者の予後予測に有用なバイオマーカーの1つとなりうる可能性が示された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

今年度は術前放射線化学療法の全生存期間とECVの相関を確認できた。
現在24症例でF18-FLT PET検査を含めた検査と治療が完遂できており、現在データ
を解析中である。当初計画していた症例数は30例であり、おおむね予定通りである。

今後の研究の推進方策

症例数を増やしながら、検査および治療を遂行できた患者については予後を追跡する。来年度は症例数を増やしてFLTやdual energy CTを用いたECVと病理学的治療効果の相関について検討結果を報告予定である。

次年度使用額が生じた理由

予定していた学会出張が取りやめになったため
(使用計画)学会出張費に充てる

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2023 2022

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] Prediction of overall survival in patients with pancreatic cancer undergoing curative resection after chemoradiotherapy using extracellular volume fraction2023

    • 著者名/発表者名
      藤本憲吾、山本由佳、三田村克哉、田中賢一、則兼敬志、佐野村隆行、松川浩之、岡野圭一、西山佳宏
    • 学会等名
      第82回日本医学放射線学会総会
  • [学会発表] 切除可能膵癌、切除可能境界膵癌における術前補助療法の治療効果予測因子の検討2022

    • 著者名/発表者名
      藤本憲吾、山本由佳、三田村克哉、則兼敬志、奥田花江、松川浩之、岡野圭一、西山佳宏
    • 学会等名
      第62回日本核医学会学術総会

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公開日: 2023-12-25  

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