がん死亡原因の上位を占める大腸癌の治療方針決定において、特に内視鏡治療と外科的治療の境目となるT1b(SM高度浸潤癌;SM浸潤距離1000ミクロン以上)の判定はきわめて重要である。内視鏡診断が高度に進歩した現在においても大腸癌治療ガイドライン2022年版においてはcT1高度浸潤癌の診断指標として内視鏡所見以外にX線造影検査を参考にする旨が記載されている。ただし、その検査手技・診断能力の修得には熟練を要するだけでなく、受検者の身体能力が求められる内容であり、高齢化が進んだ現在、低侵襲で詳細かつ簡便な診断が可能となるトモシンセシスを活用したX線検査法の果たす役割は重要と考えられる。
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