本研究の目的は,デュアルエネルギーCT(dual energy CT;DECT)と深層学習の応用により,CTのみから腰椎手術支援画像作成を試みることである.対象は,単椎間の低侵襲椎弓切除術術前に,SOMATOM Drive(Siemens)による腰椎非造影DECTと,腰椎非造影MR myelography(MRM)を施行した患者である. 令和3年度は,腰椎非造影DECTの再構成法の違いによる,硬膜管と神経根の描出能について調べた.逐次近似画像再構成法(ADMIRE)(Siemens)の強度による硬膜管-黄色靱帯間と硬膜管-椎間板間のコントラストの違いについて調べた結果,両者共ADMIREの強度を上げる程コントラストは上昇した(ADMIRE=3<4<5).仮想単色X線画像(Mono+)(Siemens)における硬膜管-黄色靱帯間と硬膜管-椎間板間のコントラストは,それぞれ,100 keVと190 keVで最も良かったが,両者共Mono+未使用の100 kV/Sn140 kV混合画像の方がより良いコントラストを示した. 令和4年度は,ADMIRE=5併用混合画像の3Dデータから腰椎非造影CTミエログラフィー(non-contrast CT myelography;NC-CTM)を作成して教師画像とし,3D U-Netを用いた学習と交差検証を行った.その結果,学習済み3D U-Netモデルより生成されるNC-CTMは,教師画像と高い類似度を示した. 令和5年度には,ADMIRE=5併用混合画像のNC-CTMを症例毎に改めて見直す作業を行った.MRMでは脊椎インプラントからの金属アーチファクトにより画質劣化を来すが,NC-CTMでは金属アーチファクト低減技術(iMAR)(Siemens)を併用することで,良好な画質の脊髄腔画像が得られた.
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