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2021 年度 実施状況報告書

Lowe症候群およびDent disease-2の発症機序の解明と新規治療開発

研究課題

研究課題/領域番号 21K15864
研究機関神戸大学

研究代表者

榊原 菜々  神戸大学, 医学研究科, 助教 (90814319)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2023-03-31
キーワードOCRL / Lowe症候群 / Dent disease-2
研究実績の概要

OCRL遺伝子のexon6からはじまるトランスクリプトをクローニングし,このトランスクリプトから2種類の機能性蛋白が合成されることがわかった。この結果はこれまで言われていた仮説を立証したものであり,この研究成果を論文報告した。(Nephrol Dial Transplant. 2022 Jan 25;37(2):262-270.)
またスプライシング異常をきたすOCRL異常について網羅的に,minigeneを用いたmRNA解析を行った。この結果も前述の機能性蛋白の存在を支持するものであり,現在論文投稿中である。
尿中落下細胞を使用したRNAシークエンスについては,ロングリードRNA-seqを用い,腎から抽出したmRNAの解析を行ったが,想定していたトランスクリプトは検出されなかった。より発現量が多いと思われる尿細管培養細胞のmRNAでも同様の解析を行ったが,こちらも想定していたトランスクリプトは検出されなかった。
またプロテインシーケンスによる蛋白の検出については,目的とするisoform蛋白をCBB染色により確認することはできたが,蛋白の絶対量が少なく,シーケンスができなかった。今後免疫沈降などにより蛋白精製を行い,再度検出を試みる予定である。
尿中落下細胞による酵素活性の測定系の確立については,現在いくつかの方法を試している段階であるが,現時点では強制発現系ほど明確な結果が得られていない。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

ロングリードシーケンスやプロテインシーケンスで,目的とするトランスクリプトや蛋白の検出に難渋している。これは,おそらく発現量が非常に少ないことに起因すると考えられるため,リード数を増やす,精製などでより濃度を濃くして検討を行うなどが必要と考えている。
ナンセンスリードスルー療法については,現在細胞での効果判定を行っている段階であり,今後酵素活性の評価を予定している。AAVによる遺伝子治療についてはまだ着手していない状況である。

今後の研究の推進方策

ロングリードRNAシーケンスでのOCRLのexon6から始まるトランスクリプトの検出を試み,具体的にどの程度の発現量があるのかを可視的に明らかにしていく必要がある。今回行った解析ではリード数の絶対量が少なく,検出できなかったと考えられるため,リード数を増やし,今後再度実施する予定である。
またOCRL抗体を用いた免疫沈降を行った蛋白を使用した,プロテインシーケンスによるisoformの確認も同時に行っていく。
尿中落下細胞による酵素活性の測定系の確立についても継続して行う。
さらに,ナンセンスリードスルー療法については,現在リードスルー薬であるアタルレンをすでに患者細胞に投与する実験を開始しており,今後酵素活性の測定などにより効果判定を行っていく。

次年度使用額が生じた理由

昨年度の研究進捗状況から,RNAシーケンスおよびプロテインシーケンスの解析(外注)が遅れたことによる。今年度これらの解析を行う予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2022 2021

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Identification of novel OCRL isoforms associated with phenotypic differences between Dent disease-2 and Lowe syndrome2021

    • 著者名/発表者名
      Sakakibara Nana、Ijuin Takeshi、Horinouchi Tomoko
    • 雑誌名

      Nephrology Dialysis Transplantation

      巻: 37 ページ: 262~270

    • DOI

      10.1093/ndt/gfab274

    • 査読あり
  • [学会発表] OCRL遺伝子splicing異常による疾患発症メカニズムの検討2022

    • 著者名/発表者名
      榊原菜々
    • 学会等名
      日本腎臓学会学術集会

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公開日: 2022-12-28  

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