研究実績の概要 |
・STAT1機能獲得型変異(STAT1-GOF)患者におけるTh17細胞減少の分子基盤の解明を目的として、以下の基礎実験を行った。 健常者およびSTAT1-GOF患者由来のナイーブT細胞を磁気ビーズで純化し、Th17細胞への分化条件のもとで培養する。その後、IL-17A, IL-17F, IL-22産生細胞の割合をフローサイトメトリーで解析し、Th17細胞への分化状況を評価する。並行して、上清中のIL-17A, IL-17FをCBA法で測定し、分化誘導で得られたTh17細胞から分泌されるサイトカインを評価する。上記のTh17細胞の分化条件に、IFN-α, IFN-γ, IL-27を添加し、患者でTh17細胞の分化・増殖が過剰に抑制されるか検討する。並行して、各サイトカインに対する中和抗体(抗IFN-α抗体、抗IFN-γ抗体、抗IL-27抗体)を加え、Th17細胞の分化・増殖が回復するか検討する。また、複数抗体のカクテル、JAK阻害薬(STAT1の機能を抑制)存在下での培養も行う。前年度から継続して、症例数を増やしながら上記実験を行っている。
・I型インターフェロノパチーに着目した自己免疫疾患の分子基盤の解明を目的として、以下の実験を前年度から継続して行った。 末梢血単核球での特定の5遺伝子(IFI27, IFIT1, MX1, IFI44L, RSAD2)、IFN-αで誘導される遺伝子群、炎症性サイトカイン、ケモカインを含む計139の遺伝子群の発現状態をターゲットRNA-seqで測定する。健常者、STAT1-GOF患者、Aicardi-Goutieres症候群患者の末梢血単核球を対象とする。それによりI型インターフェロノパチーの指標となるIFN signatureの有無を評価する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
・STAT1機能獲得型変異(STAT1-GOF)患者におけるTh17細胞減少の分子基盤の解明 Th17細胞への分化誘導を行い、その分化状況と、得られたTh17細胞から分泌されるサイトカインの評価を行った。Th17細胞の分化条件に、IFN-α, IFN-γ, IL-27を添加し、患者でTh17細胞の分化・増殖が過剰に抑制されるか検討した。並行して、各サイトカインに対する中和抗体を加え、Th17細胞の分化・増殖が回復するか検討した。また、複数抗体のカクテル、JAK阻害薬存在下での検討も行った。前年度から継続して、症例数を増やしながら上記実験を行っており、順調に進展している。
・I型インターフェロノパチーに着目した自己免疫疾患の分子基盤の解明 健常者、STAT1-GOF患者、Aicardi-Goutieres症候群患者の、IFI27, IFIT1, MX1, IFI44L, RSAD2、IFN-αで誘導される遺伝子群、炎症性サイトカイン、ケモカインを含む計139の遺伝子群の発現状態をターゲットRNA-seqで測定し、I型インターフェロノパチーの指標となるIFN signatureの有無を評価した。前年度から継続して、上記実験・データの解析を行っており、順調に進展している。
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