研究課題/領域番号 |
21K15866
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
大西 佑治 山口大学, 医学部附属病院, 診療助教(4日/週) (20897318)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 川崎病冠動脈病変 / 液体クロマトグラフィー/質量分析法 |
研究実績の概要 |
本研究では、川崎病における冠動脈病変形成患者の血中に冠動脈病変を誘発する物質が存在すると仮説をたて、冠動脈病変形成患者の血清から液体クロマトグラフィー/質量分析法を用い原因物質の同定を試みることを主目的としている。 2021年度は、川崎病患者血清中に多量に存在するアルブミンやグロブリンなどのタンパク質を蛋白除去カラムを用いて除去し、検体に還元アルキル化、トリプシン消化を行った後で、iTRAQ試薬 (SCIEX社)を用いて標識を行い、処理した検体を用いて網羅的なタンパク質の同定し、その検出した量について、冠動脈病変形成患者と非形成患者間で比較を行った。 その結果、冠動脈病変形成患者において、治療前の検体で上昇または低下している蛋白質を複数検出することができた。 次年度以降は検出したタンパク質が冠動脈病変形成患者において普遍的に上昇または低下しているか、また時系列的にどう変化するかELISA法を用いて検討する。また、検出した物質の精製ヒト蛋白質でヒト冠動脈血管内皮細胞を刺激し、その上清中のinterleukin (IL)-1β、IL-6、IL-8、MCP-1、GM-CSF等の炎症性サイトカインをELISA法またはcytometric bead array (CBA)法で測定および解析を実施する。この解析結果が冠動脈病変形成症例の血清で認められるサイトカイン濃度と類似したパターンを有するか確認し、類似した蛋白質を冠動脈誘発物質候補とする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
冠動脈病変形成患者と非形成患者間で比較を行い、冠動脈病変形成患者において、治療前の検体で上昇または低下している蛋白質を複数検出することができた。 次年度以降は検出したタンパク質が冠動脈病変形成患者において普遍的に上昇または低下しているか、また時系列的にどう変化するかELISA法を用いて検討する方針であり、概ね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
上記の通り2021年度はタンパク質の同定まで進行したため、今後はそのタンパク質のヒト冠動脈内皮細胞や動物への影響や役割について検討する。 将来的にはこの候補タンパク質またはそのモノクローナル抗体が川崎病冠動脈病変形成に対する予防、特異的治療となるかを検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
液体クロマトグラフィー/質量分析の回数が予定よりも少なかったため、試薬の購入が予定よりも少額ですんだため。今年度以降細胞実験を行うため、ヒト冠動脈内皮細胞の購入に使用する。
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