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2023 年度 実績報告書

ミクログリアに注目した注意欠陥多動性障害の病態生理解明と新規治療法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 21K15882
研究機関愛媛大学

研究代表者

城賀本 敏宏  愛媛大学, 医学系研究科小児科学講座, 助教 (10781346)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワードADHD / 豊かな環境 / 最初期遺伝子 / 行動実験 / RNAseq / 養育環境
研究実績の概要

新たなADHDモデルであるLister Hooded Rat (LHR)を用いて、引き続きADHD様行動に与える養育環境の影響と脳の分子細胞生物学的変化について検討を行った。95cm x 55cm x 115cmという高さと広さのある大きなケージに、3つの木製の小屋、回し車、3つの餌場と2つの水場、階段や梯子、登り棒などを備えた環境でLHR(豊かな環境群)を飼育した。このような豊かな環境での飼育を行ったLHRを40cm x 25cm x 14cmの通常ケージで飼育したLHR(対照群)の行動を比較した。豊かな環境群は7日間連続で行動量を測定するオープンフィールド試験で急速に慣れが生じ、行動量が3日目に有意に減少した。一方、対照群は逆に2日目以降行動量が増加するADHD児によく見られる多動性が観察された。不注意や衝動性を計測する落下試験では、豊かな環境群は約10%が落下したのに対し、対照群は約90%が落下した。このように、豊かな環境での飼育によりADHD様行動が改善することを示した (Cells 2022, 11, 3649)。
次に豊かな環境飼育でのADHD様行動改善の分子細胞生物学的背景を探るために、前頭葉組織を分散し、FACSを行ったが、ミクログリアに関して有意な変化は見出せなかった。そこで、行動がおとなしいWistarラット、対照群、豊かな環境群から前頭前野内側部(prelimbic region)組織から全RNAを抽出し、次世代シークエンサーにより遺伝子発現を比較した。その結果、Fos、Egr2、Arcなどの最初期遺伝子群の発現レベルは、Wistarラットと豊かな環境群では同程度であるが対照群では亢進していた。これらの結果は、前頭葉内側面の神経活動亢進がADHD様の多動と関連し、豊かな環境での養育がその神経細胞活動を抑制して落ち着いた行動をもたらすことを示唆している。

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公開日: 2024-12-25  

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