研究課題/領域番号 |
21K15883
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
本村 良知 九州大学, 大学病院, 助教 (10737175)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | ERストレス / 川崎病 |
研究実績の概要 |
我々は、自然免疫受容体NOD1のリガンド(FK565)投与による「川崎病類似モデルマウス」を開発し、冠動脈炎の発症機構を明らかにしてきた。また、我々は動脈硬化の発生初期や進展にNOD1を介した血管炎が関わることを明らかにした。さらに無菌マウスの実験により、NOD1は一般的なリガンドである細菌のペプチドグリカン非存在下においても、動脈硬化の進展に寄与する可能性を見出した。そこで、未知の内因性NOD1リガンドの探索中である。 近年、動脈硬化と小胞体ストレスの関係性が近年注目されており、小胞体ストレスによる炎症惹起にNOD1が関与していることが報告されている。そこで、本研究では、小胞体ストレスがNOD1を介して冠動脈炎や動脈硬化の進展に関与することを明らかにする。 我々は以前の研究で冠動脈内皮細胞のNOD1がリガンドを感知することを示しており、小胞体ストレス刺激薬(ThapsigarginおよびTunicamycin)に対する炎症反応を、ヒト冠動脈内皮細胞を用いて調べた。小胞体ストレス刺激薬単独では、内皮細胞は反応を示さなかったが、FK565と併用することで上清サイトカイン産生の相加作用を認めた。また、NOD1リガンドの活性度を吸光度で測定する実験系(HEK-Blue™ NOD1)を用いて小胞体ストレス刺激薬がNOD1刺激活性を持っている事を確認した。 次に、マウスへの小胞体ストレス薬の投与を行っている。容量調節を行っているが、小胞体ストレス刺激薬単独投与およびリポポリサッカライドとの併用投与では、冠動脈炎の発症は確認出来ていない。今後も容量調節を行うが、FK565との併用投与で相加作用があるかどうか実験を行っていく予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
容量によりマウスに急性の肝障害等が起こり、投与計画通りの実験が進まず、容量調節や投与法の検討を必要とした。また、小胞体ストレス刺激薬単独投与で冠動脈炎を発症しないかどうかの判断に、実験の反復を必要とした。発症した場合に予定していた実験に進めていない等の理由で進歩状況としてはやや遅れている。
|
今後の研究の推進方策 |
小胞体ストレス刺激薬、FK565およびリポポリサッカライドとの併用投与で相加作用があるかどうか実験を行っていく予定である。具体的には、病理学的解析および心臓浸潤細胞のフローサイトメトリー解析を行う。相加作用があった場合には、その作用機序についてNOD1欠損マウスや小胞体ストレス阻害薬(TUDCA)を用いて解析を行う。
|
次年度使用額が生じた理由 |
研究の進歩状況がやや遅れているため、マウスや試薬の購入費を残しているため。マウスの購入費、飼育費。投与する試薬、フローサイトメトリーの抗体、培養細胞などの購入を計画している。
|