研究課題/領域番号 |
21K15885
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
根岸 豊 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 研究員 (40798344)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | Schaaf-Yang症候群 / MAGEL2遺伝子 / モデルマウス / 急性脳症 |
研究実績の概要 |
本研究の目的はSchaaf-Yang症候群(SYS)の合併症の1つである急性脳症様症状の臨床像、発症メカニズムを明らかにすることである。 まず、急性脳症様症状の臨床像を解明のために日本におけるSYSの全国疫学調査を実施した。一次調査にて27例の遺伝学的に確定した日本人SYS患者し、二次調査ではそのうち25例の詳細な臨床情報を集積できた。これまでの海外での報告と基本的には共通していたが、我が国の患者は重症度が高く、軽症患者が未診断である可能性が示唆された。この中で4例に感染症後の脳症様エピソードが確認された。発症年齢は6か月から8歳まで幅広かった。4例とも頭部MRIにて異常所見を認めたが共通する特異的な所見は認めなかった。遺伝子型との関連は認めなかった。脳症様症状の合併率は高くなかったが、4例中3例で後遺症を認め、予後を左右する重大な合併症であることが確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
日本における全国疫学調査を初めて実施し、遺伝学的に確定した日本人SYS患者の詳細な臨床像を把握することができた。本調査では急性脳症様症状の合併率、詳細な臨床像を明らかにすることもできた。一方、モデルマウスを用いた機能解析及び行動解析については、名古屋市立大学のマウス行動解析装置の整備が遅れていることもあり進んでおらず、研究全体としてはやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
SYSの脳症様症状のメカニズム解明のため、私たちが過去に作成したSYSモデルマウスと対照マウスを用いて熱耐性実験を行う。具体的には高温チャンバー法、およびリポ多糖投与により生存率、脳組織における神経細胞死の誘導、エンドソームリサイクル関連蛋白量の変化、膜蛋白成分の変化などを評価する。この実験によって違いが認められた場合は薬剤投与の有効性に関する実験を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19パンデミックにより国内学会、国際学会発表の渡航が不要となったため。また動物実験の進行が想定より進まなかったため。
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