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2021 年度 実施状況報告書

光療法は神経毒性をもたらすか?ビリルビン光学異性体と血液脳関門モデルを用いた研究

研究課題

研究課題/領域番号 21K15886
研究機関奈良県立医科大学

研究代表者

内田 優美子  奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (70319721)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2023-03-31
キーワードビリルビン光学異性体 / 血液脳関門 / 新生児黄疸
研究実績の概要

新生児黄疸に対する光療法の有効性は既に実証されている。その一方、光療法に伴う超低出生体重児死亡率の増加や早産児のビリルビン慢性神経障害などが問題となっている。そして、これらを避ける方法は未だ解明されていない。また、近年、安全と目されてきた光療法の結果産生されるビリルビン光学異性体(ルミルビン)による神経炎症惹起性が示唆された。このビリルビン光学異性体は水溶性で神経親和性がほとんどないとみなされていたことと精製分離が困難なことから脳神経系への作用についての詳細な研究が進んでいない。
そこで、光療法による血液脳関門への傷害を検証する目的で検討を始めた。ルミルビンの精製分離を行い、その安定性について検討を加えた。
ビリルビン試薬に青緑色光を照射し、分取薄層クロマトグラフィーでルミルビンを精製する。精製されたものは液体クロマトグラフィー質量分析法で検証した。2.5%アルブミン溶媒の-80℃凍結保存は安定していたが、アルブミンに結合していないフリーのルミルビン溶液も調製した。0.2%アルブミンまでは安定していたが、それ以下の低濃度アルブミン、メタノール、アスコルビン酸、細胞培養液に溶解したルミルビンは精製溶解時から平均7日まで精製当初の7から8割へと漸減したが10日以降はいずれも安定していた。このことからアルブミンフリーのルミルビンは精製時から10日以降保存したものを実験に供するのが望ましいことがわかった。
また、これまでルミルビンの同定検量は高速液体クロマトグラフィーがゴールドスタンダードとされていたが、この方法で分取薄層クロマトグラフィーで精製したものを都度、ルミルビンであるか確かめることは手技的、時間的に非現実的である。そこで、我々は簡易にルミルビンをビリルビン特異的結合性蛍光タンパク質UnaGと青色光照射によって同定検量する方法を見出した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

精製したルミルビンは遮光凍結保存していても、その溶媒により失活することがわかった。
血液脳関門モデルにルミルビンを接触させる前に、ルミルビン自体の安定性を検証することが先決と考えられたため、その課題に取り組んでいた。
そのため、2021年度行う予定だったルミルビンの「血液脳関門への移行性」の検討が遅れてしまった。

今後の研究の推進方策

2022年度に血液脳関門の移行性試験を行う予定である。
ルミルビン溶液はアルブミンフリーの3種(高、中、低)の濃度を用意し、幼弱ラット(生後1週)の細胞を用いて構築した血液脳関門モデルで移行試験を開始する。
血液脳関門を移行すれば血液脳関門の成人ラットで同様の試験を行う。
この2つのモデルにおいて、幼弱モデルのみで透過性が認められる場合は、さらに幼弱カニクイザルモデルの作成について検討する。ラットにおける成人モデルにおいても透過性が見られる場合には通常の成人モデルであるカニクイザル細胞を用いた移行性試験を行うつもりである。

次年度使用額が生じた理由

本来、血液脳関門モデル作成に使用するはずだった金額が、実験の遅れにより使用できなかったため。
2022年度に血液脳関門モデルの作成をすでに進めている。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2021

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 液体クロマトグラフ質量分析計による蛍光タンパク質UnaGを用いた尿中ビリルビン光学異性体測定法の検証2021

    • 著者名/発表者名
      内田優美子、高橋幸博、釜本智之、中川隆志、利根川仁、西本瑛里、谷有貴、西久保敏也
    • 学会等名
      第57回日本周産期・新生児医学会学術集会

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公開日: 2022-12-28  

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