研究課題
小児領域において新生児/乳児、急性腎傷害、筋肉量が少ない患者に対して正確かつ適時的に糸球体濾過量 (GFR) を評価する方法は確立していない。本研究の目的は、1時間蓄尿から算出される簡便なクリアランス法 (1h-CrUNCl) が、これらの患者に対するGFRの正確な把握に有用かを検討することを目的としている。その方法として患者を対象とした介入研究を行う。研究対象である新生児/乳児、急性腎傷害、筋肉量が少ない患者は、北里大学病院のPICU、 NICUに入室する患者を対象とすることで抽出する。同意を得た患者に対してイヌリンクリアランス検査を行い、1h-CrUNClとの相関を検討する。イヌリンクリアランスはGFR測定のゴールドスタンダードとされており、かつ薬剤投与に関連する副作用もほぼない。したがって、新生児や集中治療を受ける患者に対しても全身状態に影響することなく遂行が可能である。すなわち、倫理性を担保しながら実施可能な科学的価値の高い臨床研究であり、昨年度にこの点を重視した研究計画を立案し、倫理審査を経て北里大学病院長の承認を得た。今年度は研究計画に基づいてPICUに入室する患者を対象として登録を行い、研究を開始した。現時点で複数例でイヌリンクリアランス検査を実施しており、有害事象なく経過している。今後も患者登録、データの収集を継続する予定である。また、研究参加者からは中長期的な腎機能のデータも収集する予定である。
2: おおむね順調に進展している
集中治療を要する患者を対象とした介入研究であるため、研究実施許可が下りた後も研究実施方法や安全性の担保のため多種職間での様々な調整が必要であった。今年度は研究遂行の安全性を吟味の後数例の登録を計画していたため、患者登録と研究を開始できていることに関しては概ね順調な進捗と考えている。
研究参加者のリクルートを引き続き継続する。研究参加者には通常診療以上に厳密な腎機能評価がなされており、この点に関しては利益があると考えられる。研究に参加することに対する利益不利益を丁寧に説明して参加者数を増やすことに努める。
患者登録開始後想定以上に経費を抑えて遂行できている。今後はデータ管理や解析に経費を要することが予測される。
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Pediatric Nephrology
巻: 38 ページ: 1057~1066
10.1007/s00467-022-05703-1