FK565誘導川崎病モデルマウスにおける胸腺の解析を行った。FK565マウスは通常、免疫後7日目に解析されることが多いが、7日後には胸腺が委縮し、消失していたり小さく線維化していることが多いので、免疫後1日目の胸腺を解析に用いることとした。 ① 胸腺フローサイトメトリー解析:FK565誘発川崎病モデルマウスのこれまでの予備的解析で、胸腺が著明に萎縮し、その細胞数と質量が減少していた。白血球の表面抗原を染色する抗体を購入し、フローサイトメトリー法で解析すると川崎病モデルマウスでは、CD4陽性T細胞、CD8陽性T細胞も減少していたが、特にdouble positive T細胞が減少しており、胸腺髄質上皮の機能の低下が示唆された。 ② 胸腺免疫組織染色:抗ケラチン14抗体で胸腺の髄質上皮細胞を免疫染色し、同定でした。髄質上皮細胞は川崎病モデルマウスでも見られたが、髄質に存在するT細胞が減少していることが分かった。CD4、CD8を共染色するとdouble positive T細胞も減っていた。FK565が血管からの幼若Tリンパ球の遊走を阻害している可能性が考えられた。 ③胸腺mRNA解析:胸腺をtrysolで処理し、mRNAを抽出しqPCR解析を行った。胸腺でのTリンパ球の分化、移動に関わる分子であるAIRE、PD-1のプライマーqPCRを行ったが川崎病モデルマウスの胸腺でAIREとPD-1のmRNA発現は低下しておらず、他の要因が関係していると考えられた。今後異なる分子のプライマーを用いてqPCRを行い、川崎病モデルマウスでFK565がどのように作用してdouble positive T細胞が減少するのかを詳しく調べる予定である。
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