研究成果の概要 |
CARD9欠損症は、CARD9遺伝子の機能喪失型変異により発症し重篤な真菌感染症を呈する疾患である。我々は、国内初と考えられる本症患者および新規変異を同定した。新規変異の病的意義を評価することが必須であり、本研究を行なった。患者および無症状である同胞の単球において、真菌刺激におけるIL-6, IL-8, TNFの産生の低下を示した。in vitroの評価系として、HEK293細胞による強制発現実験を施行したが、真菌刺激後のIL-8産生やNF-KB活性には有用な結果が得られなかった。無症状者においても、真菌刺激によるサイトカイン産生が低下しており、真菌感染のリスクがあることを示した。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本疾患は重篤な真菌感染症を合併する可能性があり、本症を疑われれば迅速かつ正確な診断が必要である。また、本疾患の責任遺伝子であるCARD7遺伝子に病的変異を複合ヘテロ接合性に有していても、無症状患者が存在することもある。本研究では、新規CARD7変異を同定しその病的意義の評価を行なった。無症状患者においても、真菌刺激に対するI L-6 , I L-8 ,TNFの産生低下が認められ真菌感染症のリスクを保因していることを示した。一方でin vitroでの実験系は確立できなかったが、新規変異が同定された場合には、真菌刺激に対するサイトカイン産生を評価することで発症リスクが判断可能となる。
|