研究課題
1年目においては、プロテオーム解析で示された結果の正確性について、先天性好中球減少症(CN)患者の好中球を用いて、実際にGSTP1の低下及び小胞体ストレス(UPR)亢進 が認められるか、immunoblotting法を用いて検証を行った。ELANE異常症、SRP54異常症、周期性好中球減少症のすべてのCN患者において、GSTP1の低下と、UPRの指標であるBipの上昇を認めた。またUPR以外の他のアポトーシス関連因子についても検討を行った結果、発現上昇を認めた。これらはプロテオーム解析で得られた結果と同等の結果であった。次に正常iPS細胞を用いてCRIPR/Cas9法によるGSTP1遺伝子の遺伝子破壊を施行し、CNにみられる好中球分化障害が認められるか検討を行ったが、分化障害はみられなかった。GSTP1の単独欠損のみでは好中球分化へ影響がないことが示されたため、さらなる分子学的病態について解析を行うため、ELANE異常症患者由来iPS細胞(CN-iPSC)において、ELANE遺伝子をCRIPR/Cas9法を用いて遺伝子破壊を行い(CN-iPSC-NE KO)、好中球分化障害に改善が得られるか検討したところ、分化障害の改善を認めた。2年目において、CN-iPSC、CN-iPSC-NE KO、正常iPSC由来好中球前駆細胞をsortし、RNA-seqを施行した結果、CN-iPSC、CN-iPSC-NE KOの間で主にanti-oxidant経路の遺伝子量のdysregulationが認められた。CNの病態にUPR関連(Bip, Chop, ATF4)のみならず、酸化ストレスが関わっていることが示唆された。
3: やや遅れている
1年目にGSTP1遺伝子の破壊による好中球分化障害がみられなかったことで研究計画の修正を余儀なくされたため。2年目以降は順調に経過している。
RNA-seqの解析により抗酸化関連分子のdysregulationが主に認められたことから、小胞体ストレスやアポトーシスに関連する分子のみならず、抗酸化に関わる病態経路について薬剤を用いて探索を行いさらなる病態解明につなげたい。
1年目においてGSTP1の単独欠損のみでは好中球分化へ影響がないことが示されたため、研究計画の遅延が生じた。2年目において、CN-iPSC、CN-iPSC-NE KO、正常iPSC由来好中球前駆細胞をsortし、RNA-seqを施行した結果、CN-iPSC、CN-iPSC-NE KOの間で主にanti-oxidant経路の遺伝子量のdysregulationが認められ、CNの病態にUPR関連(Bip, Chop, ATF4)のみならず、酸化ストレスが関わっていることが示唆されたたため、これらの分子病態について、薬剤を用いた評価を行う予定である。WBの抗体及び薬剤の購入を予定している。
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