研究課題/領域番号 |
21K15908
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
家田 大輔 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 臨床研究医 (70745950)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | Schaaf-Yang 症候群 / アンチセンス核酸 / 遺伝子編集 / Crispr-Cas9 / 行動解析 |
研究実績の概要 |
MAGEL2遺伝子の短縮型変異はSchaaf-Yang症候群(SYS)の原因である。我々は、SYSの発症機序はMagel2遺伝子の機能獲得型変異であると仮説を立て、Magel2遺伝子編集マウス(以下モデルマウス)を作成し、すでに論文発表を行った。変異Magel2転写産物を阻害することによってSYSを治療できる可能性があると考え、モデルマウスを用いてアンチセンス核酸による治療可能性を検証していく。 Magel2遺伝子に対して複数のアンチセンス核酸を設計し、変異および野生型Magel2を効率よく抑制するアンチセンス核酸、もしくはその組み合わせを得て治療薬として用いる。 SYSは重度知的障害、関節拘縮、自閉症、急性脳症の合併など、重度の表現型を有するが、我々のモデルマウスの表現型は、それと比較してはるかに軽症である。そのため、詳細な行動解析や血液検査を行うことで野生型との表現型の違いを明確にする。その上で、マウスの脳室内にアンチセンス核酸を注入し、症状が改善するか検証する。さらに、SYS患者は急性脳症をしばしば合併例することが知られており、脳組織が発熱に対し脆弱であると推測している。これを検証するために、モデルマウスを高体温にして負荷をかけることによって脳組織の変化が生じるかどうかも検証する。 また、ヒト神経芽細胞腫SH-SY5Y細胞のMagel2遺伝子を編集したうえで神経細胞へ分化させることで変異Magel2蛋白を精製し、共免疫沈降によって蛋白相互作用に変化が生じるか検証を行っていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
名古屋市立大学脳神経科学研究所に、マウスの行動解析を実施する設備が2021年に設置されたが、実際に行動解析を行う手続きや準備に時間がかかり、本年度は解析を行うことができなかった。また、大学病院での臨床業務が多忙であり、研究活動に十分な時間を割くことが困難であった。
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今後の研究の推進方策 |
行動解析の準備が整ったら、まずは行動解析に専念し、モデルマウスと野生型の表現型の違いを明確にすることを目標とする。我々の研究室には行動解析の経験者がいないため、名古屋市立大学内の行動解析の専門家に指導を仰ぐ予定である。 研究担当者は引き続き臨床業務と研究活動を並行して行う必要があるため、研究活動に専念できる大学院生に協力を仰ぐ。
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次年度使用額が生じた理由 |
モデルマウスの行動解析の準備が整わず、必要な物品をまだ購入できていないため、次年度使用額が生じた。今年度に必要物品を購入する予定である。
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