研究実績の概要 |
アンジェルマン症候群はUbe3a遺伝子の欠失や変異による機能障害から引き起こされる。本研究では、dCas9-KREB-MeCPsによるUBE3A-ATS領域の転写調節技術によって、SNRPN領域のプロモーターで始まる伸長反応を抑制することで、Ube3a遺伝子発現回復を試みる。 本年は、CRISPR/dCas9を用いたUBE3A-ATS転写抑制の効率を検討するために必要な、dCas9-KRAB-MeCP2搭載発現ベクターと複数の標的領域に対するgRNAの作製を行なった。CRISPR/dCas9によるエピゲノム編集で、最もUBE3A-ATS抑制効率が高いgRNA配列を決定するために、8種類のgRNAを設計した。gRNAの標的領域として、プロモーター領域を含むsnrpn遺伝子と、UBE3A-ATSとSNRPN領域の中間に位置する遺伝子のipw遺伝子とsnord115遺伝子を選択し、U6プロモーター含むgRNA発現ベクターを作製した。 最適なgRNAを選択するために、ヒト神経芽細胞種のSH-SY5Y細胞株を使用した。SH-SY5Y細胞株からmRNAを抽出し、gRNAの標的領域を含む6種類の遺伝子領域 (snrpn遺伝子, ipw遺伝子, snord115遺伝子, snord116遺伝子, Ube3a遺伝子)と UBE3A-ATSの発現をRT-qPCR解析を用いて確認した。 今後は、SH-SY5Y株にdCas9-KRAB-MeCP2ベクターとgRNA発現ベクターをエレクトロポレーション法により遺伝子導入を行い、UBE3A-ATS発現低下レベルにより、遺伝子治療に最適なgRNAを選択する。さらに、dCas9-KRAB-MeCP2ベクターと最適なgRNAベクターの配列を搭載した、AAV5ウイルスベクターの作製を行う予定である。
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