研究課題/領域番号 |
21K15915
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
三浦 晋 東北大学, 大学病院, 助教 (30756937)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 膵癌 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は膵の限局性脂肪化・限局性萎縮の病態解明と膵癌早期診断への臨床応用である。研究計画書に基づき、まずは限局性脂肪化・膵萎縮を有する症例を対象とした多施設前向き観察研究を計画した。予定症例数を150例とし、主要評価項目を膵癌の発生と定義した。また、限局性膵脂肪化・膵萎縮所見は定義があいまいだったため、当院放射線科とミーティングを行い定義づけを行った。内容は臨床研究に参加する施設に対してもミーティングで承認を得た。2021年7月8日に当院倫理委員会で承認を得て観察研究を開始した。2022年4月時点で主幹施設である東北大学病院で17例の症例が登録された。すでに2例の症例で膵癌発症が確認されており、現時点では膵臓癌発症を予測する因子として有望と推察している。 同時に全国の施設に本研究への参加を募集したところ、40施設に参加を表明いただいた。その結果を踏まえ、研究計画書、説明書、同意文書の変更申請を現在行っている。手続きが終了次第、多施設共同研究が開始となる見込みである。数多くの施設に参加表明いただいたこともあり、本邦を代表する大規模な臨床研究が実施される見込みとなった。本臨床研究の結果によって限局性膵萎縮の膵癌早期診断へ応用されることを期待している。 加えて、限局性膵萎縮を有する症例の病態を明らかにするために、当院の症例用いて後方視的な検討を行った。膵癌診断前に膵臓を撮影範囲に含むCT撮影歴があった76例を検証したところ34.2%の症例で、限局性膵萎縮所見が膵癌診断前の過去画像で確認された。一方で非膵癌症例における頻度は3.9%であり、有意に膵癌症例で限局性膵萎縮所見が観察された。以上の研究成果をDiagnositics誌に報告した(Miura S et al.Diagnostics(Basel)。2021.17;11:1693).
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
すでに観察研究が開始され症例登録も順調である。また想定以上に全国の施設より臨床研究への参加を表明いただいている。基礎研究に関しては、未着手となっているため概ね順調と評価した。
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今後の研究の推進方策 |
観察研究を継続する。他施設に関しては、倫理委員会への承認後に研究開始となる見込みである。
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次年度使用額が生じた理由 |
基礎研究が未着手であることや、現在進行中の多施設共同前向き観察研究での倫理委員会申請料、郵送料等が繰り越しになったため。次年度では中央一括申請などを実施する予定であり、次年度へ繰り越しした
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