研究課題/領域番号 |
21K15916
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
石橋 嶺 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (50843299)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 循環腫瘍細胞 |
研究実績の概要 |
オンコパネルを用いた遺伝子解析に基づく薬剤決定に見られるように、癌の診療は癌細胞内の遺伝子変異・発現情報に基づく診療に急速にシフトしつつある。したがって、今後、簡便に、頻回に、癌細胞の遺伝子情報を取得する方法が必須となると考えられる。血中循環腫瘍細胞(circulating tumor cell)の捕捉はその手法のひとつであるが、申請者は数年来、簡便なポリマー樹脂CTCチップを応用し、閉塞性大腸癌に対する内視鏡的金属ステント留置術の前後でのCTC数の変化を中心に検討しつつCTCの確実な捕捉法を樹立してきた。本申請では、CTCの捕捉だけでなく その遺伝子解析研究を進め、大腸癌患者を対象に捕捉したCTCのホットスポットの遺伝子変異の半網羅的解析とRNA発現状況の半網羅的解析を行って、それらと臨床情報とを統合して解析することで真に遠隔転移惹起と相関する遺伝子変異・発現遺伝子セットを同定する。そのうえで、転移ドライバー分子を絞り込み、機能解析を加えて大腸癌遠隔転移責任分子を同定する。本年度は、これまでの論文研究でも使用してきた癌の特異的表面マーカーに対する抗体によるCTC 捕捉原理を応用した簡便なマイクロ流体デバイス「樹脂 CTC チップ」を用いてヒト大腸癌患者の血清からCTCを捕捉する。その後の遺伝子解析を円滑にすすめるために、CTCチップに供する前にCD45磁気ビーズを用いて白血球をあらかじめ除去した。2) 一連の操作で回収されたCTCをもとにRNAシークエンスを行い、臨床病態、特に遠隔転移の出現との関連性を検討する。その結果、血行性転移に関わる可能性の高い遺伝子セット、あるいはLgr5のような単一遺伝子、あるいは遺伝子変異を抽出し検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初は捕捉したCTCのホットスポットの遺伝子変異の半網羅的解析とRNA発現状況の半網羅的解析を行って、それらと臨床情報とを統合して解析することで真に遠隔転移惹起と相関する遺伝子変異・発現遺伝子セットを同定する。そのうえで、転移ドライバー分子を絞り込み、機能解析を加えて大腸癌遠隔転移責任分子を同定する予定だったが、CTCの捕捉法の確立に思いのほか時間がかかり、細胞の解析にまで入っていけなかった。現時点でCTC捕捉法は確立が出来たので、今後 追いついていけるよう検討を進めていきたい。
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今後の研究の推進方策 |
次年度以降は、、1細胞からのMDA法(Multiple strand Displacement Amplification)による全ゲノム増幅や、SMARTer 法を用いた全RNA増幅の手法にも既に精通している。実際に、1細胞をピックアップしてゲノム増幅処理をしたのち、数か所の遺伝子 hot spot の変異状況を digital PCR で検出する、というフローを既に自身の研究室内にセットアップできている。そのうえ、これまでの研究で報告した「大腸癌の内視鏡的ステント留置後に一過性にCTC数が増える」という観察結果を活用して、CTCの捕捉に最も効率がよいタイミングを決める。そのうえで臨床病態との関連をCTCの遺伝子変異解析情報と対合して、有意な遺伝子変異を同定していく。
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