胃上皮細胞にDNAメチル化異常を起こすマウスとして、Villin-Creマウス、Epcam-CreERT2マウスとTet1-floxマウス、Tet2-floxマウスを交配させて作成した(Tet1 or/and Tet2KOマウス)。まず、急性胃粘膜障害におけるメチル化異常の影響をみるために、高容量タモキシフェン投与による壁細胞障害モデルを用いることとし、TAM5mgを連日投与し、その後の胃粘膜の変化を経時的に観察した。TAM投与早期に壁細胞が著明に減少し、主細胞の数も減少したが、その回復過程において、上記のTet1 or/and Tet2KOマウスは、コントロールマウスと比較して特に大きな組織学的変化を認めなかった。したがって、急性胃粘膜障害においては、Tetは主体的に関与しない、すなわち脱メチル化反応は大きくは関与しないことが分かった。 次に、慢性胃炎のモデルとして、上記のTet1 or/and Tet2KOマウス及びコントロールマウスに、H.pylori PMSS strainを感染させた。H.pylori投与後の胃粘膜の培養にてH.pyloriが感染していること、感染3カ月後には胃粘膜に慢性炎症及び化生性変化が生じていることを確認した。現在、H.pylori感染の長期経過及び、さらにMNUを加えたマウスを作成し、経過観察を行っている。 ヒト臨床検体の解析については、内視鏡的切除を施行した早期胃癌症例の非癌部胃粘膜より腸上皮化生腺管及び非腸上皮化生腺管を採取を始めた。今後、DNAメチル化解析を行う予定である。
|