研究課題/領域番号 |
21K15927
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
小刀 崇弘 広島大学, 病院(医), 助教 (60838788)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 未感染胃癌 / 印環細胞癌 / 浸潤癌 |
研究実績の概要 |
ヘリコバクターピロリ(Hp)未感染胃癌の中でも印環細胞癌(SRCC)は特徴的な組織像の1つである。遺伝性びまん性胃癌はSRCCが多発する家族性の胃癌でありCDH1が原因遺伝子として同定されている。遺伝性びまん性胃癌でない孤発性のHp未感染胃に発生するSRCCにも、同様にCDH1の体細胞変異が認められることが分かってきた。このHp未感染SRCCは粘膜内に留まり浸潤傾向に乏しく、増大しにくいという特徴があるとされているが、一部の粘膜内SRCCは、低分化腺癌が混在し浸潤癌に移行する。しかし、未感染胃に発生した粘膜内SRCCが浸潤癌に移行する機序については明らかとなっていないため、本研究ではHp未感染SRCCの癌ゲノム解析を行い、浸潤癌と粘膜内癌が同時に胃内に発生した孤発性のHp未感染SRCC症例のゲノム景観を比較することによりHp未感染SRCCの浸潤に関与する遺伝子変異を明らかにすることを目的とした。2021年度は当院で認めた、未感染SRCC症例を36例39病変(粘膜下層以深への浸潤癌症例は7例を含む)を、レーザーマイクロダイセクションにて癌組織と正常組織を切り出しゲノムDNA(gDNA)の抽出を行った。抽出するgDNA量は50ngを目標としたが大多数の症例で抽出することが可能であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
未感染 SRCC症例の癌部と正常部からレーザーマイクロダイセクションを用いて組織を切り出し、抽出キットを用いて、gDNAの抽出を行った。大部分の症例ではgDNAの抽出は可能であったが、一部の症例では粘膜内SRCCはサイズが小さい病変が多くいくつかは抽出が不十分であった。また胃癌の発生に関連するがん遺伝子を搭載したパネルの作成を行った。
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今後の研究の推進方策 |
本年度はgDNAが十分量得られなかった症例は追加の切り出しを行い、gDNAを抽出する。またがんパネルの作成を完成し、パネルを用いたディープシークエンスを行い、Hp陽性のSRCCと粘膜内癌、浸潤癌を含む未感染SRCCのゲノム景観の比較を行う。
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