研究実績の概要 |
2020年9月からの1年間でAtezo/Beva療法を行った進行HCC患者41名を対象とした。ベースラインおよび治療翌日, 1週, 3週後における血清中の血管内皮増殖因子(VEGF), 血小板由来増殖因子(PDGF), 線維芽細胞増殖因子(FGF), アンジオポエチン(Ang)濃度をELISA法で測定した。治療6週後に造影CT検査を行い、modified RESISTで治療効果を評価した。6週間後の 治療効果はCR3名, PR 8名, SD15名, PD15名であった。治療継続期間はDC群191(42-365)日, PD群48(7-111)日であった。血清中の血管新生分子濃度についてDC群(CR+PR+SD)26名とPD群15名で比較すると、ベースラインのVEGF, PDGF, FGF, Ang濃度はDC群とPD群で有意差はなかった。治療翌日にVEGF濃度はDC群とPD群ともに検出感度以下まで低下した(中央値0.0 vs 0.0 ng/mL, p=0.778)。VEGF濃度の1週後/ベースライン比はDC群とPD群で有意差はなかったが、3週後/ベースライン比はDC群よりPD群が有意に高かった(1週後, 中央値0.49 vs 0.54, p=0.187; 3週後, 中央値0.98 vs 1.38, p<0.01)。多変量解析ではPDと関連する因子は3週後のVEGF濃度低下のみが抽出された(オッズ比6.143, 95%CI 2.300-24.133, p<0.05)。
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