研究課題/領域番号 |
21K15934
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
中山 敦史 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (10748635)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 十二指腸癌 / 十二指腸腺腫 / 粘液形質 / 内視鏡診断 |
研究実績の概要 |
十二指腸上皮性腫瘍(DET)と病理診断された402例を対象に病理学的な解析を行った。十二指腸癌を高異型度腺腫以上の病変(Vienna分類category 4.1以上:VCL C4/5)と定義し、低異型度十二指腸腺腫(VCL C3)と比較した。VCL C4/5は117例、VCL C3は285例であった。免疫染色で粘液形質を評価したところ、胃型形質は53例で腸型形質は349例であった。これらのうち、VCL C4/5ではVCL C3と比較して胃型形質が有意に多かった(58.5% vs 24.6%、P<0.0001)。続いて内視鏡所見と組織学的悪性度の関連について検討した結果、病変径(P<0.0001)、病変部位が十二指腸口側(35.2% vs 23%、P=0.0084)、表面構造closed-loop structure(39.7% vs 23.1%、P=0.0006)、表面微細構造の不整(IMSP)(53.1% vs 27%、P=0.0037)、微小血管構築像の不整(IMVP)(54.7% vs 25.2%、P<0.0001)が有意にVCL C4/5で多かった。また、内視鏡所見と粘液形質との関連については病変径(P=0.0362)、病変部位が十二指腸口側(20.8% vs 5.5%、P<0.0001)、表面構造closed-loop structure(30.1% vs 3.5%、P<0.0001)、white opaque substance(WOS)なし(49.1% vs 11.2%、P<0.0001)、IMSP(24.5% vs 5.4%、P < 0.0001)、IMVP(24.5% vs 11.5%、P = 0.0150)が胃型形質に有意に多かった。以上より、胃型形質のDETはより悪性度が高く、また内視鏡所見により組織学的悪性度や粘液形質を類推できる可能性がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
症例数が多く、病理学的な解析について予想外に時間を要した。
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今後の研究の推進方策 |
病理学的な評価を依頼している滋賀医科大学病理学と引き続き連携を取りながら病理学的な評価について最終確認を行い、論文作成を行う。また、本学ゲノム医療ユニットとも引き続き連携を取りつつ遺伝子解析についても進めていく必要がある。
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