研究課題/領域番号 |
21K15934
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
中山 敦史 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 専任講師 (10748635)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 十二指腸癌 / 十二指腸腺腫 / ヘリコバクター・ピロリ感染 / 粘液形質 |
研究実績の概要 |
十二指腸上皮性腫瘍(DET)とヘリコバクター・ピロリ(Hp)感染との関連について401例、401病変で検討した。病理診断はウィーン分類で行い、粘液形質はCD10、MUC2、MUC5AC、MUC6の免疫染色を行い胃型または腸型に分類した。Hp感染は血清抗Hp-IgG抗体価、胃生検のギムザ染色、除菌治療の問診から現感染、既感染、未感染に分類した。内視鏡的萎縮性胃炎を木村・竹本分類で評価した。また、同意が得られた59例で遺伝子パネル検査を実施し160種類の遺伝子異常について網羅的に解析した。Hp感染は現感染52例(13.0%)、既感染115例(28.6%)、未感染234例(58.4%)であった。Hp現感染群は未感染群と比較してウィーン分類カテゴリー4/5の割合に差を認めなかった(18/52(34.6%)v.s. 65/234(27.8%), P=0.3983)。また、Hp現感染率は粘液形質による差を認めなかった(胃型5/34(14.7%)v.s. 腸型47/252(18.7%), P=0.8126)。萎縮性胃炎は萎縮無し、closed type、open typeの順に胃型(25/34(73.5%)、7/34(20.6%)、2/34(5.9%))と腸型(193/252(76.6%)、42/252(16.7%)、17/252(6.7%))で共にその割合が減少した。更に、Hp感染状態毎(現感染群v.s.未感染群)の遺伝子変異上位3種の割合はAPC: 5/15(33.3%)v.s. 13/44(29.6%)、KRAS: 2/15(13.3%)v.s. 16/44(36.4%)、GNAS: 2/15(13.3%)v.s. 7/44(15.9%)で有意差を認めなかった。Hp持続感染は萎縮性胃炎の進行と共にDETの発生を抑制している可能性があるが、遺伝子異常には影響していないと考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今回は先に副次解析の結果を提示したが、内視鏡所見や病理所見、遺伝子解析の結果はある程度揃う目途がつきつつあり、本解析を行える状況が整ってきているため。
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今後の研究の推進方策 |
十二指腸癌と十二指腸腺腫における遺伝子解析の結果の差異を追加検討し、考察をまとめつつ論文作成を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
病理学的な評価について予想以上に時間を要しているため。遅れている遺伝子解析を中心に研究を進めていきデータ解析を行う。また、海外学会発表も行う予定で準備をすすめている。
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