研究実績の概要 |
膵癌や膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)など画像診断単独では診断が困難な膵疾患に対する診断能向上のために、申請者は超音波内視鏡(EUS)画像に対して人工知能(AI)を用いた新規画像診断技術開発を行っている。単施設後ろ向きの研究ではIPMN,膵腫瘍の良悪性診断に対して有望な結果(正診率94-95%)を得られたため、日本最大級のIPMN手術例コホートを用いた多施設後ろ向き研究を開始、全国規模の多施設前向き研究を計画した。また、スーパーコンピューターを用いて多施設で集積した画像を学習させAIのさらなる診断能向上を図り、日本消化器内視鏡学会から画像収集やAI作成の研究協力を受け以下の研究を行った。 1)IPMN良悪性診断に対する多施設後ろ向き研究:全体で約600例のIPMN症例のEUS画像を集積、スーパーコンピューターを用いてdeep learningの最新のモデルの一つであるVit-Giantを用いてIPMNの良悪性判定を行うAIを開発、外的検証データを用いてその精度を判定したところaccuracy 87%という結果であった。現在上記結果について論文作成中である。 2)膵腫瘍の良悪性診断に対する多施設後ろ向き研究、3)膵疾患鑑別に対する多施設前向き研究:2)3)に関して日本肝胆膵オンコロジーネットワーク(JON)にて研究計画を立案した。また出口戦略として製品化へ向けて企業と協議した。しかしながら膵疾患の有病率の低さのため市場が狭く開発コストが回収できないという返答が多く製品化を断念した。出口戦略変更もありデータ収集の方法も変更が必要となり2)3)は計画中止とした。
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