研究課題/領域番号 |
21K15943
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
阿部 寛幸 新潟大学, 医歯学総合病院, 助教 (50880168)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 肝細胞間密着接合 |
研究実績の概要 |
本研究は、肝線維化・再生における肝細胞の細胞間密着接合(タイトジャンクション)の発現変化とその意義、細胞老化、エクソソーム分泌に関する相互的な関連性を検証し、肝再生に向けた基礎的検討を行うことで線維化・再生における肝細胞の形質変化が明らかとなり、タイトジャンクションをターゲットとしたより選択的かつ効率的な再生療法へつながることを期待するものである。 上記目的のため2021年度は動物モデルを用いて、肝繊維化におけるタイトジャンクションの発現変化を確認し、繊維化過程でタイトジャンクションの変化がどう影響を及ぼすのか、そのメカニズム解明を進めるにあたっての候補となるタイトジャンクション関連遺伝子の抽出を行った。 マウスに対して四塩化炭素の腹腔内投与を8週間行い肝線維化モデルを作成した。同モデルから肝臓を摘出し、肝臓よりRNAを抽出、RT-PCRを行いタイトジャンクション関連遺伝子の発現を解析した。その結果コントロールモデルと比較し、四塩化炭素による肝線維化モデルで有意に発現の変化を有する遺伝子を5つ抽出するに至った。 今後、この抽出した5つの遺伝子に対してその発現の変化がもたらすタイトジャンクションとしての機能の変化を培養細胞を用いて評価を行うとともに、四塩化炭素による肝繊維化モデル及び部分肝切除による再生モデルに対して、中和抗体などによるその発現の制御が肝繊維化、肝機能に対して治療効果を有するか検証を行っていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
COVID-19の情勢より臨床業務へのエフォートが多く必要であった状況ならびに、タイトジャンクション関連遺伝子のRT-PCR用のプライマーについて検討に時間を要した状況あり、当初の予定より遅延が生じている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究では最終的に再生療法への治療応用が目的となるため、治療効果の評価が最も重要となる。そのため2021年度の成果として抽出できた5つのタイトジャンクション関連遺伝子について四塩化炭素による肝繊維化モデル及び肝切除モデルに対して中和抗体を用いた治療を行いその反応についてを優先的に評価を行っていく。 上記で得られた結果をもとにそのメカニズム評価を培養細胞系等を用いて詳細に検討していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究進捗の遅延により物品購入が少なかったこと、学会参加がCOVID-19の影響でオンライン開催となり旅費がかからなかったことによる。次年度は遅延分の研究を進める必要があり、結果についても学会で公表していく予定である。そのため、次年度使用額分は研究における必要な経費である。
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