研究課題/領域番号 |
21K15945
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
新井 慎平 信州大学, 学術研究院保健学系, 助教 (70866053)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | フィブリノゲン / フィブリノゲン蓄積病 / 免疫沈降 |
研究実績の概要 |
申請者は、これまでにフィブリノゲン蓄積病(FSD)報告例の遺伝子変異を対象に、リコンビナントフィブリノゲン(Fbg)安定発現細胞株を樹立し、それらのFSDモデル細胞を用いたFSDの病態解明に取り組んでいる。2022年度は、これまでに樹立したFSDモデル細胞のうち、G284R・D316N・R375Wの遺伝子変異を有する3種類のモデル細胞株について、小胞体に蓄積したFbgをターゲットにした解析に取り組んだ。 細胞内に蓄積したFbgを回収するために、小胞体内タンパクを特異的に標識する色素と反応させ、その反応色素に対する抗体とプロテインAビーズを用いた免疫沈降法によるFbg回収を検証した。免疫沈降法で得られたサンプルをSDS-PAGEで確認したところ、CBB染色でFbgのバンドは確認できなかったが、Westernblottingではバンドの存在を確認可能であった。様々な条件でFbgの高濃度回収を試みたが、標識色素を用いた免疫沈降法では困難であると判断し、標識色素の代わりに抗Fbg抗体を使用した免疫沈降法(代替法)を検証したところ、CBB染色でFbgのバンドを確認することができ、十分量の細胞内Fbgを回収することが可能となった。SDS-PAGEで得られたFbgバンドを切り出し、ゲル内トリプシン消化を行った後、液体クロマトグラフィー質量分析計(LC-MS)を用いてFbgと結合しているタンパクの同定を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
標識色素を用いた免疫沈降法ではターゲットとした小胞体内Fbgの回収が難しく、抗Fbg抗体を用いた免疫沈降法への変更を行った。当初の計画では年度内に質量分析計による解析が終了している予定であったが、現在その解析に取り組んでいるため「やや遅れている」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は、小胞体ストレスに起因する疾患への治療薬として研究されているケミカルシャペロンに着目して、フィブリノゲン蓄積病の治療薬候補を検証する。先行研究で効果が証明されている数種類のケミカルシャペロンを選択し、モデル細胞における反応性(治療効果)を細胞内Fbg濃度や細胞内封入体の陽性率等の指標で判定していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験計画に遅れが生じ、質量分析計を用いた解析に使用する消耗品費が次年度使用額(224,137円)として残った。次年度使用額は当初の計画通り、消耗品費ならびに論文投稿費などに使用する予定である。
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