研究課題/領域番号 |
21K15946
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
今井 則博 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院助教 (40877081)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | アルコール性肝障害 / UBXD8 |
研究実績の概要 |
UBXD8は細胞内の長鎖不飽和脂肪酸のセンサーであり、不飽和脂肪酸の存在下でadipose triglyceride lipase (ATGL)と結合し、脂肪滴におけるtriglyceride(TG)の加水分解を抑制する。またUBXD8はsterol regulatory element-binding protein 1 (SREBP-1)の活性化を介してdiacylglycerolからのTG合成を調整している事が知られている。これらの知見はUBXD8が全身の脂質代謝を通じて、アルコール性肝障害・肝硬変の病態形成において重要な役割を果たしていることを示唆している。 研究協力者の施設よりloxP配列でexon1を挟んだUBXD8 flox/floxマウスを名古屋大学医学部へ移転した。UBXD8 flox/floxマウスをアルブミンプロモーターでCreを誘導するマウスと交配することで肝細胞特異的UBXD8 ノックアウトマウスを作出し、新たにVillin-Creマウスと交配することで腸管上皮細胞特異的UBXD8ノックアウトマウスを作出した。 肝細胞特異的UBXD8ノックアウトマウス、腸管上皮細胞特異的UBXD8ノックアウトマウス、およびそれぞれのlittermateコントロール (flox/flox) マウスを用いて、5%エタノール含有液体飼料(Lieber-DeCarli liquid diet)飼育を行い、急性肝障害を惹起するためエタノール飼料10日間飼育後に多量アルコール摂取(ビンジアルコール)を負荷しそのフェノタイプを解析中である。先行研究において肝細胞特異的UBXD8ノックアウトマウスの表現型には雌雄差があることが明らかとなっているため、雌雄両性を用いてそれぞれ比較検討を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画は概ね順調に推移している。LoxP-Creシステムを用いて新たにVillin-Creマウスと交配し作出する腸管上皮細胞特異的UBXD8ノックアウトマウスを作出し、肝細胞特異的UBXD8ノックアウトマウス、およびそれぞれのlittermateコントロール (flox/flox) マウスと共に5%エタノール含有液体飼料(Lieber-DeCarli liquid diet)を用いた研究を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
肝細胞・腸管上皮細胞特異的なUBXD8ノックアウトマウスを5%エタノール含有液体飼料を用いたアルコール性肝障害モデルとして比較検討することにより、臓器特異的なUBXD8のアルコール性肝障害の病態における役割を明らかとする。
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次年度使用額が生じた理由 |
購入を予定していた実験試薬を購入しなかったため、次年度に繰り越し動物飼料とともに、抗体試薬、DNA・RNA 抽出キット等の分子細胞学的試薬を購入する予定である。
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