研究課題/領域番号 |
21K15954
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
久保 智洋 札幌医科大学, 医学部, 助教 (00634669)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | NK細胞 / HDAC阻害剤 / 肝細胞癌 |
研究実績の概要 |
本研究では、複数のサイトカイン刺激により作成した、強力な抗腫瘍効果のあるCytokine Induced Memory Like(CIML)NK細胞の肝細胞癌への応用と肝細胞癌に高発現する選択的 HDAC Class IIa の病勢関与に焦点をあて、両者の併用効果を検討することを目的とした。まず健常人の末梢血からNK細胞をFACS sortingの手技によって、NK細胞に分離し、複数のサイトカインで16時間刺激することでCIML NK 細胞を作成した。Flow Cytometryを用いて作成したCIML NK細胞の活性型NK細胞受容体(NKG2D、NKp30、NKp44、 NKp46など)の発現を測定し、コントロールNK細胞と比較するしたところ NKG2D、NKp30の発現が有意に上昇していた。 さらに選択的HDAC Class IIa阻害薬により肝癌細胞株の遺伝子発現がどのように変化するかを検討するためRNA Seq解析施行したところ、NKG2DのリガンドであるULBP1やNKp30のリガンドであるB6-H7の遺伝子発現が複数の肝癌細胞株で上昇していた。以上より、HDAC阻害薬は肝癌細胞株における活性型NK細胞受容体リガンド発現の上昇をもたらし、CIML NK細胞との併用で相乗効果をもたらす可能性がある極めて貴重なデータが得られたと考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
HDAC阻害薬は肝癌細胞株における活性型NK細胞受容体リガンド発現の上昇をもたらし、さらにCIML NK細胞は活性型NK細胞受容体の発現が上昇していることを証明し、両者併用により相乗効果が得られる可能性があり、さらにその機序として活性型NK受容体が関連していることを示唆する大変貴重なデータが得られ、今後の研究に繋がると思われるため。
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今後の研究の推進方策 |
今後はCIML NK細胞とHDAC阻害剤を併用し、肝癌細胞株に対して相乗的な抗腫瘍効果が得られるかをFlow Cytometry を用いた apoptosis assayを行い評価する。また肝癌細胞株を用いて皮下腫瘍マウスモデルを作成し、CIML NK 細胞とHDAC阻害剤両者併用による抗腫瘍効果を検討する。
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