研究課題/領域番号 |
21K15960
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
大和田 賢 東海大学, 医学部, 講師 (40756409)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | アスピリン / 活性酸素種 |
研究実績の概要 |
前年度までに,大腸がん細胞株を用いてアスピリンは低酸素環境選択的な細胞死を惹起すること、細胞毒性のエフェクター分子として活性酸素種が寄与することを明らかにしている。2023年度は、臓器横断的なアスピリンの効果を検証した。肝臓がん細胞株HepG2およびHLEを中心に解析を加えた。これまで同様に、低酸素環境は低酸素模倣剤である塩化コバルトを用いた。 肝臓がん細胞株に、低酸素環境下でアスピリンを処理すると、細胞内活性酸素種の蓄積と共に低酸素環境選択的な細胞毒性が惹起された。この時、抗酸化剤であるN-アセチル-L-システインを処理すると、アスピリンによる低酸素環境選択的な細胞毒性は顕著に減弱した。 次に、低酸素環境選択的なアスピリンによる細胞毒性に、どのような細胞死の形態が関与しているのか検討を行った。フェロトーシスの阻害剤であるフェロスタチン-1、ネクロトーシスの阻害剤であるネクロスタチンー1及びアポトーシスの阻害剤であるZ-VAD-FMKを用いた。アスピリンによる低酸素環境選択的な細胞毒性は、Z-VAD-FMK処理により顕著に減弱したことから、アポトーシスの関与が強く示唆された。 これらのことより、肝臓がん細胞株でもアスピリンは低酸素環境選択的に細胞内活性酸素種を増加させることによりアポトーシスを誘導し、細胞死を惹起することを明らかにした。現在、すい臓がん細胞株や乳がん細胞株での予備的検討を始めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度までに、低酸素環境選択的なアスピリンの細胞毒性を大腸がん細胞株から肝臓がん細胞株まで適応を広げることが出来た。一方で、当初計画していた、細胞の生存シグナルや細胞周期から、メカニズムに迫る解析が遅れているため、進捗はやや遅れていると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度に引き続き、低酸素環境選択的なアスピリンによる細胞毒性の臓器横断的な検討を加える。2023年度に実施できなかった細胞のシグナル伝達経路から、メカニズムの解析を行う。具体的には、生存シグナルはMAPK経路やPI3K/AKT経路、細胞周期はp21やp27経路の関与を検討する。種々のシグナル伝達経路と活性酸素種の関係を明らかにし、論文投稿を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
細胞の生存シグナルや細胞周期からメカニズムに迫る解析の進捗が遅れため。 解析に必要な各種抗体やキットの購入に充当します。
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