研究実績の概要 |
超拡大内視鏡であるエンドサイトスコピー(EC)が開発され、狭帯域光(NBI)併用EC(EC-NBI)はNBI併用拡大内視鏡(ME-NBI)を、早期胃癌の診断性能において上回ることが報告されている。しかし、EC-NBI独自の診断方法について検証は行われていない。そこで我々はEC-NBI独自の診断方法を明らかにすることを目的とした。方法としては、以下である。早期胃癌、非癌それぞれ114病変、114枚のEC-NBI画像をME-NBIの教育を受けた内視鏡医33名(開発群)と、教育を受けていない内視鏡医28名(検証群)が評価した。評価法はME-NBIの診断体系であるVessel plus Surface classification systemに順じ、微小血管パターン(MV)、表面微細構造パターン(MS)を用いて行い、いずれにおいても不整と判断された場合、その画像は癌と診断することとした。診断性能として、正診率、感度、特異度をMV単独、MS単独、MVおよびMS両方の各診断方法で算出し、開発群および検証群それぞれの群内で各方法の診断性能の比較を行った。結果は以下である。開発群、検証群ともに、MV単独がMS単独と比較して、正診率(開発群:91.7% vs 76.3%, P<0.0001, 検証群: 92.5% vs 67.5%, P<0.0001)、感度(開発群:87.7% vs 54.4%, P<0.0001, 検証群: 89.5% vs 38.6%, P<0.0001)において有意に高値であった。一方で、両群ともにMV単独とMVおよびMS両方の比較では、各診断性能において有意差を認めなかった。結論として、MV単独による診断方法は、MVおよびMS両方による診断方法よりも簡便かつMVおよびMS両方による診断と同様、高い診断性能が得られた。この診断方法は日常の胃癌診療において有用である。
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