研究課題/領域番号 |
21K15963
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
大山 広 千葉大学, 医学部附属病院, 助教 (10814600)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 胆道癌 / 膵癌 / 次世代シークエンサー / 遺伝子変異 / がん遺伝子 |
研究実績の概要 |
2018年9月より胆膵疾患の各種検体(血液、細胞診、FFPE)の収集を開始した。胆膵癌34例、良性疾患10例から取得したFFPE19検体、細胞診検体61検体をゲノム解析に用いた。細胞診検体の経過年数は1年未満が5検体、1年以上5年未満が50検体、5年以上10年未満が6検体であり、長期間保存された検体が含まれていた。Class分類はClass Vが46検体、IVが3検体、IIIが6検体、IIが4検体、Iが2検体であった。 まず、抽出されたDNAに対し、TaqMan RNase P Detection Reagents KitとFFPE DNA QC Assay v2を用いて質的・量的検討を実施した。FFPEと細胞診検体のDNAの平均濃度はそれぞれ1.8 ng/μL、1.7 ng/μLであり同等であった(P = 0.792)。また、断片化の程度を長鎖DNAと短鎖長鎖DNAの比により評価したところ、FFPEは0.2、細胞診検体は0.2と同等であった(P = 0.800)。DNA品質において両検体間に有意差を認めなかったため、FFPEと同様、細胞診検体もゲノム解析に用いた。 まず、組織検体のある悪性19例について、FFPEと細胞診検体の両者のゲノムプロファイルを比較した。Ion AmpliSeq library kit plusを用いてライブラリ作製を行い、Ion Chefを用いてEmulsion PCR、Chipローディングを実施した。シークエンスにはIon Protonを用いた。FFPEと細胞診検体の平均カバー深度は1,588、1,705であり、VC の FFPEと細胞診検体のオンターゲット率は両者ともに96%であった。シークエンス結果も両者同等であった。 今後、両者のゲノムプロファイルを比較、また細胞診単独での良悪性鑑別と治療標的薬剤探索の是非について検討予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
抽出したDNAの量的・質的検討から、細胞診検体はFFPEと同様にゲノム解析が可能な検体であることが確認された。これらの検体を用いたゲノム解析は一部完了しており、今後ゲノムプロファイルを評価予定である。このような経過から概ね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画通り、令和4年度は次世代シークエンサーを用いたゲノム解析を実施予定である。今後も継続して症例集積と検体収集を行っていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年は検体採取を中心に業務を施行し、DNA抽出を中心に実行した。シークエンスに要するライブラリ作製、半導体チップ、シークエンスに要するキットの消費の割合が低かったため次年度使用額が生じた。次年度以降はより費用のかかるキットの使用が嵩むことが推測される。
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