本研究では独自のスキルス胃癌マウスモデルを用いて、同腫瘍細胞に特徴的なCD38・LRG1発現上昇による血管新生・線維化亢進の機序を解析した。遺伝子発現解析により、胃腫瘍内ではLRG1の受容体であるCD105陽性血管内皮細胞と腫瘍関連線維芽細胞が協調して血管新生・線維化・炎症を誘導し、腫瘍免疫微小環境を形成することが判明した。また、線維芽細胞の寄与に関しては、CD38抗体治療により一部抑制されることを示した。 さらに、遺伝子改変オルガノイドのリン酸化プロテオーム解析によりPak遺伝子を同定し、PAK阻害剤は胃癌細胞のCD38・LRG1蛋白発現を低下させ、その抗腫瘍性が示唆された。
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