胃粘膜の発癌過程の解明のため、本研究では胃癌ドライバー遺伝子変異の候補が、実際の非腫瘍部胃粘膜上皮細胞においてどの様な分子生物学的変化をもたらすのか、その詳細を解明することを目的としていた。60個の新規胃粘膜組織片を収集し、培養実験を実施中である。同時に実施した既収集サンプルの再解析では、非癌部由来ヒト胃粘膜上皮集塊と、単離した胃腺窩に対して網羅的遺伝子変異解析を行い、ドライバー遺伝子変異の検索と、胃粘膜における遺伝子変異蓄積・クローン拡大の詳細、組織学的な腸上皮化生の占める面積の相関を解明し、胃癌ドライバー遺伝子として知られる遺伝子の一部が非癌部で高頻度で変異していることを明らかにした。
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