本研究では、加齢や臓器障害で蓄積する多倍体化と細胞老化という2つの細胞変化に着目し、その相互連関の解明を目指した。ヒト肝癌細胞株Huh7と正常2倍体上皮細胞株RPE1を用いた検討により、細胞老化の誘導過程ではしばしば多倍体化を伴う一方、多倍体化は必須ではなく2倍体のまま細胞老化に至りうることが明らかとなった。独自に樹立した安定多倍体細胞株を用いた検討により、多倍体細胞ではDNA傷害が多く蓄積しており、多倍体化はDNA傷害の惹起につながることも分かった。多倍体化および多倍体であることは細胞老化の惹起に必須ではないが、DNA傷害の蓄積と関連することで細胞老化の誘導に密接に関わることが示唆された。
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