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2023 年度 実施状況報告書

慢性肝不全急性増悪に対する間葉系幹細胞と老化排除剤の検証

研究課題

研究課題/領域番号 21K15993
研究機関新潟大学

研究代表者

渡邉 雄介  新潟大学, 医歯学総合研究科, 特任助教 (00883844)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
キーワードACLF / Navitoclax / SASP / ミトコンドリア機能評価
研究実績の概要

【目的】慢性肝不全急性増悪(ACLF)は致死率の高い予後不良な疾患である。ACLFに対する根治治療としては肝移植があるが、移植治療だけでは救命率が改善せず、新規治療開発が望まれる。ACLFの機序には肝細胞老化の関与が示唆されており、老化細胞を除去する薬剤であるNavitoclaxを用いて、ACLFの新規治療を模索した。2021年度には、ACLFマウスの作成と、同マウスに対するNavitoclaxの効果の検証を実施した。2022年度には、Navitoclaxの効能に介在する機序の解明のためミトコンドリア機能評価を実施した。2023年度にはミトコンドリア機能評価としてこれまでに実施してきた評価法に追加して酸素消費速度の計測を実施した。
【方法】放射線照射(Total 1.0 Gy)で作成した老化肝細胞に、Navitoclaxを添加し、酸素消費速度Kitと吸光度計を用いて酸素消費速度をNavitoclaxを添加していない群と老化させていない肝細胞の群で3群間の比較を実施した。吸光度計では持続的な計測に設定し、長時間かけて経時的な変化を評価した。
【結果】酸素消費量は、正常な肝細胞では高く、老化肝細胞ほど低い結果であった。老化肝細胞にNavitoclaxを添加することで、正常な肝細胞ほどではないものの、酸素消費量は増加した。酸素消費量から消費速度を計測すると、老化肝細胞にNavitoclaxを添加することで消費速度が改善する結果であった。
【結論】酸素消費速度の評価の結果からも、Navitoclaxによりミトコンドリア機能が改善することでACLFを緩和する可能性が想定された。Biogenesisの面からもミトコンドリア機能の評価を実施することができたため大きなデータの補強につながったと考えられる。さらに介在する機序を解明して、ACLFに対する新規治療開発を目指していく。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

2023年度に実施した酸素消費速度の計測実験には細胞のviablityが重要であった。また、その他の業務に多くのエフォートを割いたことからも、やや遅れている結果となった。
追加の検証をやり残しているため、研究期間を1年間延長し、最終的に総括を行う予定である。

今後の研究の推進方策

今年度までで、ACLFに対するNavitoclaxの効果を十分に検証することができた。次年度はまだ検証を残している間葉系幹細胞とNaviの併用によりさらに強力な効果を確認できるかについて検証を予定している。また、次年度は最終年度となるため、最終結果について総括する予定である。

次年度使用額が生じた理由

2023年度まで、コロナ禍であることと、それに関連した研究以外の業務に多くのエフォートを割いたため、次年度使用額が生じた。次年度では、間葉系幹細胞とNavitoclaxの併用投与の検証と研究成果の総括を行うため、当該費用に使用する予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2023

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] The relationships between liver fibrosis and senescent cells.2023

    • 著者名/発表者名
      Yusuke Watanabe
    • 学会等名
      The 59th Japan society of Hepatology.
  • [学会発表] 新規ACLFモデルの開発と老化細胞除去の効果の検討.2023

    • 著者名/発表者名
      渡邉雄介
    • 学会等名
      第39回日本肝不全研究会

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公開日: 2024-12-25  

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