研究実績の概要 |
近年免疫チェックポイント阻害剤(immune-check point inhibitor;ICI)使用患者が増加している状態に比例してICI関連副作用(Immune check point inhibitor related adverse event: IrAE)患者数も増加している。現在のところIrAE大腸炎に対しては軽症であれば下痢止め、中等症以上であればステロイド、免疫抑制生物学的製剤を使用することとガイドラインに記載されている。しかし、実際にIrAE大腸炎発症時に内視鏡で確認することは少なく、臨床症状を元に治療が行われているのが実際で正確なメカニズムを元にした治療方針が確立しているとは言い難い。そこで、これまでに申請者はIrAE大腸炎の内視鏡像の特徴を多数報告してきた(Kayashima A, Mutaguchi M. CGJ 2020, Hayashi H, Mutaguchi M DDS 2020)。さらにこれまでに形態学的なアプローチを潰瘍性大腸炎さらには炎症性腸疾患患者における炎症由来の腫瘍、加齢に伴う腫瘍の内視鏡的な特徴を中心に経験を重ねてきた経験を有する(Mutaguchi M. Dig. Liv. Dis. 2019. Nomura E, Mutaguchi DDS 2020)。 昨年度当院にて免疫チェックポイント阻害剤を利用し下痢、血便などの症状を有した患者の協力のもと内視鏡を而してICIによる大腸炎患者を数名リクルートした。腸管内における内視鏡写真を元に病理学的な検討と比較を行い、CD4/CD8の細胞数比率について条件検討を行った。特にICI related colitis発症時の大腸内T細胞におけるTCRレパトアは多様性を示しており、治療後は特定のTCRレパトアに収束していることを見出した。
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