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2021 年度 実施状況報告書

IDH変異陽性肝内胆管癌における特異的分子基盤の解明

研究課題

研究課題/領域番号 21K16012
研究機関公益財団法人朝日生命成人病研究所

研究代表者

藤原 弘明  公益財団法人朝日生命成人病研究所, その他部局等, 教授(移行) (00814500)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワード胆管癌 / 代謝 / エピゲノム
研究実績の概要

肝内胆管癌の約20%に存在するイソクエン酸デヒドロゲナーゼ(IDH)の変異が、肝内胆管細胞からの発癌過程においてどのような生物学的役割を果たすのかは未だ明らかでない。変異型IDHは野生型IDHの産生したαーケトグルタル酸(α-KG)を2-ヒドロキシグルタル酸(2-HG)に変換することで、α-KG依存性のヒストン及びDNA脱メチル化酵素を阻害することで、細胞のエピゲノムに影響する。研究者藤原はこれまでの研究において、マウス肝臓より樹立した肝内胆管細胞へIDH1変異を発現させると、解糖系の律速酵素の1つホスフォフルクトキナーゼ(PFK-1)のサブユニットの一つであるPFKPの発現上昇を介して、解糖系が活性化されることを示した(Scientific Reports 2019)。しかしながら、IDH1変異単独の導入では発癌に至るプロセスの解明には至らないことも明らかとなり、本研究では幾つかの遺伝子異常を合併して導入させることで、IDH1変異と共存する遺伝子異常が協調して構築する発癌への分子生物学的基盤の一端を明らかにすることを目指した。その結果、複数の遺伝子異常を組み合わせることで、マウス肝内胆管細胞へヌードマウス皮下への腫瘍形成能を獲得させることに成功した。その組織像は単層の上皮組織から重層化した異型上皮、更には胆管癌に至るまで、多彩であった。また、IDH1野生型発現細胞由来の腫瘍と比較して、IDH1変異型を発現する細胞から形成された腫瘍の組織像は悪性度が高かった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

結果の再現性も非常に良好で、樹立したモデルの様々な実験における汎用性も高いため。

今後の研究の推進方策

本年度で樹立に成功したIDH1変異陽性胆管癌の多段階的発癌モデルを利用し、その背景にある分子生物学的基盤を明らかにし、網羅的遺伝子発現解析等を利用して標的遺伝子の同定へと計画を進めていく予定である。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2022 2021

すべて 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件)

  • [学会発表] 患者組織検体を用いた原発性硬化性胆管炎における特異的分子病態の探索2022

    • 著者名/発表者名
      金井祥子、藤原弘明、藤城光弘
    • 学会等名
      第108回 日本消化器病学会総会
  • [学会発表] Mutant IDH1 creates the tumorigenic precondition in biliary cells through PFKP-induced aerobic glycolysis and AMPK activationMutant IDH1 creates the tumorigenic precondition in biliary cells through PFKP-induced aerobic glycolysis and AMPK activationMutant IDH1 creates the tumorigenic precondition in biliary cells through PFKP-induced aerobic glycolysis and AMPK activation2022

    • 著者名/発表者名
      Hiroaki Fujiwara, Keisuke Tateishi, Hiroyuki Kato, Takuma Nakatsuka, Keisuke Yamamoto, Yotaro Kudo, Kiyoshi Hasegawa, Tomoyoshi Soga, Kazuhiko Koike and Mitsuhiro Fujishiro
    • 学会等名
      Digestive Disease Week 2022
    • 国際学会
  • [学会発表] 患者由来オルガノイドを用いた胆道癌診断における5-アミノレブリン酸の有用性の検討2021

    • 著者名/発表者名
      藤原弘明、高原楠昊、小池和彦
    • 学会等名
      第107回 日本消化器病学会総会
  • [学会発表] ヒト臨床検体由来オルガノイドを利用した、5-アミノレブリン酸による胆管癌の光線力学的診断の可能性についての検討2021

    • 著者名/発表者名
      藤原弘明、高原楠昊、中井陽介、立石敬介、春日雅人、小池和彦
    • 学会等名
      第31回日本光線力学学会学術講演会

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公開日: 2022-12-28  

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